ライフ

【著者に聞け】吉田輝星ら雑草集団を描く『金足農業、燃ゆ』

中村計氏が『金足農業、燃ゆ』を語る

【著者に聞け】中村計氏/『金足農業、燃ゆ』/文藝春秋/1800円+税

「高校野球でこれ以上心を動かされることはもうないと思っていましたが……」

 北海道代表・駒大苫小牧の連覇の舞台裏を描いた前作『勝ち過ぎた監督』で、講談社ノンフィクション賞を受賞した著者の琴線に再び触れたチームが、2018年夏の甲子園に現れた。エースの吉田輝星(現・日本ハム)を擁して準優勝した秋田代表・金足農業高校だ。刀を抜くような吉田の「侍ポーズ」などが話題となり、日本列島に「金足フィーバー」を巻き起こした。

「自分なりの勝てる監督像やチーム像が全部崩れて、それが気持ちよかった」

 と、著者が爽快感すら覚えるほど、〈何から何まで「ありえないチーム」〉だった。しかも、県大会から甲子園決勝まで、3年生9人だけで戦い抜いたのだ。

「9人は30分程度の通学圏から集まっているだけ。練習もクラシックで、雪国というハンディもある。でもこれで勝てるんだって思いました。こんな奇跡的なチームは二度と現れないんじゃないでしょうか」

 著者が描く甲子園ノンフィクションに一貫した力強さは、取材対象者に決して阿らない、大胆かつ繊細な筆致にある。本書でも、白い球を追い掛けるナインの生き生きした姿だけでなく、その一挙手一投足に込められた思いや葛藤、監督やコーチに対する素直な気持ちにまで迫っている。

関連記事

トピックス

中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
「山健組組長がヒットマンに」「ケーキ片手に発砲」「ラーメン店店主銃撃」公判がまったく進まない“重大事件の現在”《山口組分裂抗争終結後に残された謎》
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
財務省の「隠された不祥事リスト」を入手(時事通信フォト)
《スクープ公開》財務省「隠された不祥事リスト」入手 過去1年の間にも警察から遺失物を詐取しようとした大阪税関職員、神戸税関の職員はアワビを“密漁”、500万円貸付け受け「利益供与」で処分
週刊ポスト
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン