番組は、ファンの不安の種をフリップに4つ書き出した。
【1】いろんな番組で2人が仲良く共演している
【2】11月19日に結婚する山口百恵と三浦友和がペアで出演した『グリコアーモンドチョコレート』のCMを2人が務めている
【3】『ザ・ベストテン』で2人並んで写真を撮っている
【4】新聞のテレビ欄で2人の名前が並んでいる
この分析について聞かれた田原は、「僕、今その問題ばっかりでいつもね、悩んでいるんだけど、別にそんなことはないですから、皆さん心配しないでください」とやや笑みを浮かべて答えた。ソファーから立ち上がった聖子は困惑した表情で、「私も田原くんが今言った通りにそれだけで。困ってるんですけども……」と話した。
以降、『ザ・ベストテン』では新聞のテレビ欄で2人の名前が並ばなくなったり、2人のあいだに司会の黒柳徹子が割って入るという措置が取られたりした時期があった。令和2年の今では考えられない話だが、昭和55年に現実として起こった出来事だった。
周囲の熱狂をよそに、2人は熾烈なランキング争いを繰り広げていた。9月11日に田原の『哀愁でいと』が3週連続1位に輝くと、翌週の18日に聖子の『青い珊瑚礁』が初のトップを奪い、3週連続で死守する。25日には、最後のスタジオ出演の山口百恵が1位のお祝いとして聖子に花束を渡している。
こんなデータを算出してみた。1980年の『ザ・ベストテン』における1月10日から6月26日までの上半期(25回)と7月3日から12月25日までの下半期(26回)のランクイン回数トップ10を挙げてみよう。
●1980年上半期
【1位タイ】25回・五木ひろし、クリスタルキング
【3位】19回・西城秀樹
【4位】18回・山口百恵
【5位タイ】17回・郷ひろみ、沢田研二
【7位】13回・海援隊
【8位タイ】12回・オフコース、シャネルズ
【10位】11回・渡辺真知子
●1980年下半期
【1位】26回・田原俊彦
【2位】21回・松田聖子
【3位タイ】18回・郷ひろみ、もんた&ブラザーズ
【5位】17回・山口百恵
【6位】16回・八神純子
【7位】15回・五木ひろし
【8位タイ】13回・長渕剛、高田みづえ
【10位タイ】11回・西城秀樹、ロス・インディオス&シルヴィア