「猛…はっきりしないと、ひかる、あいつにとられちゃうわよ」上目遣いの美佐子お嬢様が懐かしい。ちなみにこのころから、渡辺裕之は日焼けワイルド系であった。このドラマは後に『新・愛の嵐』として、要潤・藤谷美紀コンビでリメイクされた。
もうひとつの名作といえば、『愛の流刑地』だ。スランプの恋愛小説家(岸谷五朗)が、こどものいる人妻(高岡早紀)と出会い、逢瀬を重ねる。結果、男は性愛の最中に彼女を死なせてしまい、裁判が始まる。渡辺淳一の原作小説は新聞連載中から大きな反響を呼び、「愛ルケ」ブームを巻き起こした。
2007年、ドラマに先駆けて豊川悦司・寺島しのぶで映画版が公開された際、私はコラム執筆のため、朝10時から映画館で観ることになったが、とても朝から観る内容とは思えなかったのに、シニアで満席でびっくりした記憶がある。いやいや、すごかった「愛ルケ」パワー。
と、ここまで書いて、やっぱりタイトル力に驚く『愛の不時着』。それは「不時着」がたとえでもイメージでもなく、実際にヒロインの身に起こるということだ。「不時着したような愛」とか「愛は不時着に似ている」とかではなく、ホントに不時着しましたから!という迫力に観る者はぐいぐい引っ張られる。なお、このドラマの英語タイトルは『Crash Landing on You』。直訳すると「あなたに不時着」ってこと? こちらもナイス。