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ゲーム不正指南ブログで損賠賠償 大学院生が打ち明ける顛末

「あのブログを書かなければ」と悔やむ大学院生

「あのブログを書かなければ」と悔やむ大学院生

 新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための緊急事態宣言が解除されて間もない6月上旬、大学院生のX氏(23)は、スーツ姿で都内の弁護士事務所にやってきた。オンラインゲーム「人狼ジャッジメント」における不正行為の方法をブログとYouTubeに投稿し拡散したことを運営会社のそらいろ株式会社へ謝罪し、その賠償について話し合うためである。そして、「荒らしの抑止に繋がり、罪滅ぼしの一つになるなら」と、みずからが行ったことについて取材に応える場所にのぞんだ。マスク越しに少し緊張が見えるX氏が、取材中にもっとも悔しがったのは次のことだった。

「もし戻れるなら、あのブログ記事を投稿しなければよかった。それに尽きます。あれさえなければ、いま、こうはなっていないわけですし……あの記事を出したところで、自分に何一つメリットもなかったですし。あの記事はとにかく出すなと、過去の自分に言いたいです」

 参加者が自身の正体を隠しながら、他プレイヤーと交渉して人のふりをした狼役を探り処刑してゆく人狼ゲームは、もともとアナログのパーティゲームだ。テレビのバラエティ番組や小説、漫画などでもたびたび題材にされ、インターネット上でも人気のゲームジャンルに成長している。なかでもX氏が問題を起こした「人狼ジャッジメント」は、2018年2月からサービス開始されたスマートフォン・タブレット向けの対戦型オンライン人狼ゲームで、ユーザー側が設定を大きく変えられることや、プレイヤーが自分の分身として設定できるキャラクターたちが魅力的だと大きな人気を集めている。プレイヤーどうしのコミュニケーションが必須のため、オンラインであっても対人独特の面白さが生じる人狼ゲームは、一方で、未熟なプレイヤーによるトラブルも起きやすい。そこでX氏は、トラブルメーカーなユーザーに協力する情報をブログで提供していたのだった。

 X氏が後悔しているブログ記事とは、「人狼ジャッジメント」において、アカウントを停止されたプレイヤーが復帰や再取得できる不正な方法を、目次と図解入りでわかりやすく解説したもの。この記事には、実際の操作方法を撮影して作成した動画へのリンクも貼ってあり、ハウツーとして親切な構成だった。同ゲームでは、2019年12月に不正な方法で複数アカウントをつくり、大量の投稿を行うなどの荒らし行為をした高校生が偽計業務妨害、私電磁的記録不正作出・同供用の容疑で書類送検されているが、その容疑者が参考にした情報源がX氏のブログだった。

 X氏がブログで情報拡散した結果、荒らし・迷惑行為が発生したため運営会社はゲーム内をリアルタイムで監視し、違反について調査、そしてシステムの改修などを迫られた。そのため被害総額は8000万円を超え、X氏が支払う賠償金も多額にのぼると推測される。

「ブログ記事は、今、振り返ると、本当に勢いで書いて出してしまった」

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