そんなとき、美しい思い出は人生のささやかな慰めになるだろう。麦はこれからも折にふれて、カラオケで「クロノスタシス」を歌った絹を、絹はふたりで散歩した多摩川の土手を、思い出すだろう。別れの日に、しつこいくらいにくり返された「楽しかったね」は、自らを、そしてたがいを慰め励ます親愛の言葉なのである。

【プロフィール】榎本憲男(えのもと・のりお)/映画会社に勤務後、2010年退社。2011年『見えないほどの遠くの空を』で小説家デビュー。15年『エアー2・0』を発表し、注目を集める。18年異色の警察小説『巡査長 真行寺弘道』を刊行。シリーズ化されて、「ブルーロータス」「ワルキューレ」「エージェント」と続く。『DASPA 吉良大介』シリーズも注目を集めている。

 

 

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