2012年度の自賠責保険制度の広報キャンペーンキャラクターは女優の剛力彩芽。1966ねんから実施されているキャンペーンで、2021年度は「おそ松さん」が起用されていた(時事通信フォト)

2012年度の自賠責保険制度の広報キャンペーンキャラクターは女優の剛力彩芽。1966ねんから実施されているキャンペーンで、2021年度は「おそ松さん」が起用されていた(時事通信フォト)

 はっきり言おう。6000億円を返せない、返すにしても100年だか85年だかかる状態というのは本当にやましいことはないのか。使い込みではないのか。話を膨らましているのではなく、こうした「上の使い込み」「下に押し付け」を繰り返してきたのがこの日本国の政府と官僚である。そして一般国民はそれに至るまで気づかず、言われるがままに払い続ける。

 この自賠責問題に関して一般国民が怒るのは当然で、そもそも都合30年近くも完済しないままに、22世紀までかかる返済しかしない政府および財務省の「誠意をもってお返ししていくことが大切」(鈴木財務相、2022年11月11日会見)など信用できるわけがない。

 このままその言葉通りの「誠意をもってお返し」を速やかに実行しなければ「勝手に6000億円使って返せなくて足りないから値上げ」という今回の措置に国民の理解など、まったくもって得られることはないだろう。自賠責そのものの存在意義すら問われかねない。

 自賠責の政府および財務省の6000億円返還問題、これもまた、かつての年金使い込みや旧統一教会問題と同様、日本の戦後政治と「失われた30年」という既得権の残滓である。たった年最大150円の値上げかもしれないが、この150円にこそ、政府および財務省の奢りと国民という「下」に対する増上慢が見えてくる。

※敬称略
※肩書および所属は当時

【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。社会問題や生命倫理の他、日本の運輸・交通に関するルポルタージュも手掛ける。

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