「ママが思うよりも女子大生ってお金かかるんだよ」
第8話(9月5日放送)は「借金地獄の女子大生を救え」という物語だった。裕福ではない母子家庭。大学でも学費が高い理系で学び、バイトしながら苦学する女子大生・杏奈のエピソードだ。
ある日、吉野ひかりは執行官・小原と消費者金融の借金を返せずに動産執行(債務者の所有物の差し押さえ)となった女子学生・杏奈の自宅を訪問した。娘の借金を知らなかった母親が娘を問いつめる場面がある。
(母親)「なんで借金なんてしたの?」
(杏奈)「なぜ? って私だけいつも同じスニーカーを履いているの、恥ずかしいじゃん。ママが思うよりも女子大生ってお金かかるんだよ。もうこれからは迷惑かけないから放っておいて」
大学生という世界は様々なコミュニティーがある。部活、サークル、ゼミなどを複数かけ持ちする中で学生同士の人間関係もかなり複雑だ。そうした中で「貧困」などの事情を抱えていても、それを他の人にはなるべく気づかれないようにして「普通に生活」しているのが大半の学生といえるが、そうした境遇をたまに知ることがある筆者にもこの場面は腑に落ちるものだった。
女子大生の杏奈はなぜ借金をしたのだろうか? ドラマが進むうちに彼女は大学の先輩の男子学生の「投資話」に乗せられて借金をつくったことが判明する。
(杏奈)「どうなっているんですか? 全然、配当ないんですけど……。だったら、あの30万円返してもらえませんか? 早く返済しないと親にも迷惑かけるし……」
(先輩の男子)「今さら何を言っているの? 投資ってリスクがあるの、最初からわかっているよね?」
(杏奈)「だって先輩が絶対、月何万円とか利益が出ると……」
(先輩の男子)「絶対とか言ってねえし。だから同時に、別の暗号資産とかやっておいた方がいいって言ったんだよ。あ、今からやる? まだ間に合うかも……」
(杏奈)「でも……そんなお金」
(先輩の男子)「別のところからこの間と同じやり方で借りられるって……。杏奈ちゃん、バイトで定額を稼いでいるのだから。即日で30万円くらい貸してくれる学生ローン、いっぱいあるよ」
実は大学で教員をしていると、金儲けができると“投資ノウハウ”なるものを伝授するといって高額の支払いをさせる投資セミナー詐欺が後を絶たないことはよく耳にする。そのターゲットになっているのが大学生を中心とした若者たちだ。学生同士で「誘う」と「誘われる」の関係になってしまうのが断りにくくなる要因だ。