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【全文公開】『ブギウギ』が触れない「美空ひばり」というタブー 昭和の歌姫をめぐる「因縁」と「確執」の裏面史

美空ひばりさん

『ブギウギ』が触れない美空ひばりさん

 幼少期から爆発的な人気を誇り、52才という若さでこの世を去った「永遠の歌姫」と、「ブギ」という一大ブームを日本に巻き起こした「ブギの女王」。どちらも昭和を代表する名歌手だが、共演回数は驚くほど少なかったという。2人に隠された秘密とは──。

「あんたは、ほんまはここの家の子じゃけん」──10月2日からスタートした連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)の第20回(10月27日)の放送は、母親の故郷である香川県を訪れた主人公のスズ子(趣里・33才)が、自分は大阪に住む両親の子供ではないという衝撃の事実を知ったところで終わった。

「テンポよく進むストーリー展開が巧みで『この先どうなるんだろう』と、つい見てしまう作品だと評判です。放送開始から1か月が経ちますが、視聴率の大幅な下落もなく、いい水準を維持しています」(テレビ局関係者)

 水谷豊(71才)と伊藤蘭(68才)の一人娘である趣里が好演するスズ子のモデルは、戦後の日本で「ブギの女王」と呼ばれた笠置シヅ子さん(享年70)だ。

「主人公の母親・ツヤ役を演じる水川あさみさん(40才)と趣里さんは息がぴったりで、本当の母娘のよう。水川さんは大阪出身なので、いわば関西弁ネイティブ。趣里さんは彼女のことを慕っていて、よく方言のイントネーションを教えてもらっていました。水川さんも彼女をかわいがり、『うちの娘はどこにおるんかな~』といつも目で追っていました。現在は物語の2章となる東京編を撮影しています。

 ここからは、“ブルースの女王”淡谷のり子さんをモデルとした役を演じる菊地凛子さん(42才)、そして、作曲家の服部良一さんがモデルの人物を演じる草なぎ剛さん(49才)らが登場します」(ドラマ関係者)

 キーマンの登場で、ますます盛り上がる『ブギウギ』だが、笠置さんを描く上で、どうしても外せない人物がほかにもいる。彼女の“ライバル”であり、歌手活動の中で大きな鍵を握った、「戦後最大のスター」とも称される美空ひばりさん(享年52)だ。

 その名を知らない人はいないほどの大物歌手だけに、今後どうドラマに登場するのか期待が膨らむが、NHK関係者は声をひそめてこう話す。

「現時点では、ひばりさんの登場は予定されていません。ドラマの関係者も『なぜここまでひばりさんに関する情報が出てこないのか』と不思議がっています」

「笠置はひどい女だ」

 原作本や原案がないオリジナル脚本の朝ドラも多いが、『ブギウギ』には『ブギの女王・笠置シヅ子 心ズキズキワクワクああしんど』(現代書館)という原案が存在し、同書の帯には《朝ドラ「ブギウギ」原案本》の文字が躍っている。

 同書の著者でノンフィクション作家の砂古口早苗さんが口を開く。

「昨年夏、NHKさんから、この本を原作ではなく原案にしたいとお話がありました。拙書では、笠置さんとひばりさんの関係についても多くのページを割いています」

 笠置さんとひばりさんが出会ったのは1948年10月。すでにブギの女王としてその名を轟かせていた笠置さんは34才、一方のひばりさんは、11才ながら大人顔負けの歌唱力を持ち“天才少女”として知られる存在に。その年に発売された笠置さんの大ヒット曲『東京ブギウギ』を歌うひばりさんは、“ベビー笠置”として人気を博していった。

「当初笠置さんは、ひばりさんを売り出すのに使われた『ベビー笠置』という呼び名を使うことにも寛容で、彼女をかわいがっていたようです。ひばりさんにとって笠置さんは、『私がいちばん尊敬している先生です。(会えて)うれしさに胸がいっぱい』と語るほど憧れの存在。初対面の日に撮られた写真には笠置さんと会うために目一杯おしゃれをして、満面の笑みで写っているひばりさんの姿があります」(砂古口さん)

 だが、それからわずか3か月ほどでその関係に亀裂が入ることになる。

「1949年1月、ひばりさんは念願だった日劇の小ホールで行われる公演に出演することになりました。まだデビュー前だった彼女は、笠置さんの新曲『ヘイヘイブギー』を歌うつもりで準備していたのですが、本番直前に笠置さんサイドから“『東京ブギウギ』ならいい”と通達されたのです」(砂古口さん)

 突然別の曲に変更させられたひばりさんは、練習していなかったために歌い出しを失敗してしまい、楽屋で悔し涙を流したというエピソードが残っている。

 2人の「因縁」はそれだけではない。

「1950年6月から笠置さんがアメリカツアーを行うことを知ったひばりさんサイドが、その1か月前の5月からアメリカツアーを行うことを決めました。ひばりさんの渡米直前でその事実を知った笠置さんサイドは、偶然とは思えない日程のバッティングに困惑。ひばりさんがアメリカで笠置さんの曲を歌うことを禁じたのです。それには持ち歌の少ないひばりさんは困り果てて、結果的にはアメリカで笠置さんのブギを歌ってしまいました」(砂古口さん)

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