日本赤十字社の嘱託職員となる愛子さま(写真/宮内庁提供)
2012年12月、再び首相になった安倍晋三氏が、議論の白紙撤回を表明した。
「女性宮家を認めれば、将来、母方から天皇の血を受け継いでいる女系天皇が誕生するかもしれない、というちぐはぐな論拠でした。“皇位継承は男系の男子”という、安倍元首相の支持基盤へのサービスが優先され、皇室の将来はないがしろにされてしまったのです」(前出・別の皇室記者)
その時点で、愛子さまはすでに小学校の高学年を迎えられていた。ご自身の特別な環境はすでに自覚され、自身の将来が一時の政治状況に翻弄されていくことに恐怖を覚えられたのではないだろうか。安倍政権が続くほど、議論が棚上げされたままの時間も延びていった。
「2016年に上皇さまが生前退位のご意向を示され、特例法の付帯決議に『女性宮家創設の検討』が盛り込まれましたが、安倍政権はポーズばかりで、結局進展はありませんでした」(前出・別の皇室記者)
愛子さまが20才の誕生日を迎えられた頃、わずかな進展が見られた。2022年1月、岸田首相が「女性皇族は結婚後も皇族」とする報告書を衆参両院に提出した。
「ところが、直後に麻生太郎氏を座長に発足した皇室制度の懇談会はたった一度会合を開いただけで、1年半以上議論を放置。岸田首相は、昨年2月の自民党大会や7月の安倍元首相をしのぶ会、10月の所信表明演説などで再三、皇室問題の解決に向けた議論を進めるべきだと主張していましたが、結局は口だけでした」(前出・別の皇室記者)
昨年11月、岸田首相は新たに党内に懇談会を設置した。その頃、愛子さまは大学の卒業論文執筆に精を出されていた。前月の10月には、愛子さまは両陛下と日赤に足を運ばれ、関東大震災での救護活動を振り返る企画展を鑑賞された。
「愛子さまは、真剣にご自身の未来をお考えだったわけです。しかし、大学卒業を控えても将来が霧の中にあり、“どう生きようか”とお悩みだったことでしょう。わずか22才の愛子さまを深い懊悩に突き落としたのは、政治の大罪です。
社会に出れば新たな出会いがあります。その中には、将来を考える相手もいるかもしれません。ですが、結論が出ない以上、愛子さまもお相手も、どうしていいかわからないでしょう。一刻も早く結論を出さなければ、愛子さまの“ひとりの人間としての幸福”が危ぶまれるのです」(前出・別の皇室記者)
愛子さまの声なき声に、耳を傾けなければならない。
※女性セブン2024年4月4日号
