スポーツ

【夏の甲子園「大番狂わせ」名勝負】1984年の取手二高対PL学園 茨城の「のびのび野球」がKKコンビに「夏唯一の黒星」をつけた

取手二8-4PL学園 延長10回、桑田から3点本塁打を放った中島彰一(写真/共同通信社)

取手二8-4PL学園 延長10回、桑田から3点本塁打を放った中島彰一(写真/共同通信社)

 夏の甲子園が8月7日に開幕する。阪神甲子園球場100年の歴史のなかでも印象に残るのは、優勝候補と目された強豪校がまさかの敗北を喫した番狂わせの名勝負だ。1983年にPL学園(大阪)を破った取手第二高等学校(茨城)を率いた故・木内幸男さんの証言を紹介する。

 * * *
 1983年夏、1年生のKKコンビ(桑田真澄、清原和博)を擁するPL学園が夏春夏の3連覇を狙った池田(徳島)を倒し、高校野球はPLの時代を迎えようとしていた。

 しかし、翌1984年の決勝でそのPLを下す大番狂わせを演じたのが取手二だった。率いたのは木内幸男。2020年に89歳で亡くなったが、「週刊ポスト」ではその2年前に、この試合を振り返ってもらっていた。

「奇跡的なことでしたね。戦前まで取手二は女子校だったんです。グラウンドは60メートル×100メートルの長方形でね、ライトが極端に狭かった。そんな学校に集まるのは茨城の子ばかり。田舎っぺと肩を組んで努力した結果、あんなことが起きた。10回表に3点本塁打が出るなんて信じらんねえもん」

 雨の影響で予定より33分遅れで始まったPLとの決勝は、初回に桑田から2点を先制して取手二が主導権を握った。3連投だった桑田には明らかに疲労があった。PLの主将で、桑田の球を受けた捕手の清水孝悦は言う。

「自分らは日々の練習をこなすことに必死で、相手のことを考えながら野球をやったことはなかったんです。相手がどこだろうと、PLの野球をやれば勝てると信じていた。桑田と清原が1年夏に優勝して、『5季連続で優勝します』なんて言ったものだから、主将として余計に重圧はあった」

 直前に両校は招待試合で対戦し、PLが13対0と圧勝していた。その印象から、PLナインにどこか慢心があったのではないか。そう問うと、清水は静かに頷いた。

関連記事

トピックス

都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト)
《横綱昇進》祖父が語る“怪物”大の里の子ども時代「生まれたときから大きく、朝ご飯は2回」「負けず嫌いじゃなかった」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヤクザが路上で客引きをしていた男性を脅すのにトクリュウを呼んで逮捕された(時事通信フォト)
《ヤクザとトクリュウの上下関係が不明に》大阪ミナミでトクリュウを集めて客引き男性を脅して暴力団幹部が逮捕 この事件で”用心棒”はどっちだったのか 
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン