コロナウイルス一覧/2ページ

【コロナウイルス】に関するニュースを集めたページです。

脱北を企てる人々が多くなっていることが金政権の頭痛の種に
北朝鮮で発生した「急性腸内性感染症」 浄化不十分な水でのうがいが原因か
 北朝鮮は南西部の黄海南道海州市などで「急性腸内性感染症」が発生していると発表した。新型コロナウイルス感染予防のためのうがいなどが原因ではないかとの指摘が出ている。韓国情報機関の国家情報院は昨年10月、新型コロナウイルスに加えて、北朝鮮で水系感染症が広がっていると国会情報委員会に報告しており、専門家は両者の感染は相互に関連しているとの見方を明らかにしている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 北朝鮮の関係者はRFAに対して「政府は新型コロナウイルスの感染予防のため、民間療法による対処法を宣伝している。一例として塩水に柳の葉を入れて煎じたものを飲むことを例に挙げていたが、市民は『そんなやり方で効果があるのか』と疑問視している」と明らかにしている。 韓国の国家情報院によると、北朝鮮では上下水道の施設が整っておらず、腸チフスなど先進国ではまれな病気で、毎年相当数が亡くなっているという。 急性腸内性感染症は通常、汚染された食物や水を摂取することで発症する。下痢や発熱、けいれんなどの症状が出る腸の病気で、腸チフス、赤痢、コレラなどの感染症を指し、放っておくと命にかかわることもある。 北朝鮮当局は新型コロナウイルス対策として塩水でのうがいを推奨している。しかし、ある医療関係者はRFAに対して、「新型コロナウイルス感染予防のため、十分に浄化されていない水でうがいなどすれば、病原菌が体内に入り、腸チフスなどの急性腸内感染症を発症する可能性は否定できない」と指摘している。 韓国政府は先月、新型コロナウイルス感染者の発生を発表した北朝鮮に「防疫協力」を提案したが、北朝鮮当局はこれに応じていない。 金正恩・朝鮮労働党総書記は「急性腸内性感染症が疑われる人を隔離し、感染経路を徹底的に遮断するよう」指示するとともに、金正恩夫妻が自身の常備薬を2回に分けて住民に送ったという。新型コロナウイルスにより防疫が強化されているなか、新たな感染症が広がったことで、住民の不安や不満を鎮めようとの狙いがあるとみられる。
2022.06.26 07:00
NEWSポストセブン
想定外の流行を見せているサル痘とは?
サル痘が想定外の拡大、ペットから感染、ヒトからヒトにも 種痘ワクチンに予防効果
 今もその対応に悩まされている新型コロナウイルスだけでなく、人類は様々な感染症とともに生きていかなければならない。白鴎大学教授の岡田晴恵氏による週刊ポスト連載『感染るんです』より、「サル痘」の流行と検疫の重要性についてお届けする。 * * * いま話題になっている「サル痘」は、人の天然痘ウイルスと同じオルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスの感染によって起こる感染症です。主にアフリカ中央部や西部の熱帯林でみられる風土病でしたが、今年5月に入ってから欧米を中心に29か国に感染が広がり、想定外の国や地域で患者が多発していることから問題となっているのです(6月8日現在)。 サル痘の名は、1958年にポリオワクチン製造のために世界各国から集められた霊長類の施設のカニクイザルから発見されたことに由来します。もともとは自然界ではリスやネズミなどのげっ歯類がもっていると考えられています。ですから、その動物からヒトへの感染経路としては、リスやネズミなどの感染動物に咬まれる、またはその血液や体液、発疹の皮膚病変に触れるなどがあります。 ヒトからヒトに感染することは稀とされてきましたが、濃厚接触による感染やリネン類を介した医療従事者の感染の報告があり、患者からの飛沫感染や体液・皮膚病変(発疹部位)による接触感染とされています。 このようにサル痘は新型コロナウイルスのような呼吸器感染症ではなく、発疹などの皮膚病変を中心とした接触感染と一部の飛沫感染で、感染力は強くはありません。ですから、パンデミックを起こすようなウイルスではないと考えられます。 約1~2週間の潜伏期の後に発熱、頭痛、リンパ節の腫れなどが続き、顔面から体幹部に発疹が広がります。発疹は膨れて水疱となり、やがて膿疱となって瘡蓋となりますが、治癒するまでに2~4週間を要します。幼児や妊婦、免疫が低下している人は重症化することがあります。 治療は対症療法となります。効果が見込まれる抗ウイルス薬がありますが、日本国内では流通していません。 天然痘の種痘ワクチンは、サル痘にも予防効果があります。天然痘が根絶に向かったことから、現在の日本では接種されていませんが、生物兵器のテロ対策として、国内で生産、備蓄されています。いざとなればそのワクチンが転用して使われるのでしょう。欧米各国もサル痘患者が1000人を超える中、急遽、この種痘ワクチンの確保や接種体制の整備に乗り出しています。 過去には、アフリカからアメリカにペットとして輸入された小動物を通じてサル痘ウイルスがプレーリードッグに感染、プレーリードッグからヒトに感染してサル痘になったことがありました。検疫は渡航者だけではなく、動物や食料品の輸入などでも感染症の防波堤として大きな役割を果たしています。人獣共通感染症はペットからヒトに感染することもあるので、動物検疫の重要性を痛感しますね。感染症の立場からも動物の密輸はもってのほかなのです。【プロフィール】岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院を修了後、順天堂大学にて医学博士を取得。国立感染症研究所などを経て、現在は白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。イラスト/斉藤ヨーコ※週刊ポスト2022年7月1日号
2022.06.22 11:00
週刊ポスト
中国の大学教授が警告「米国のインフレは利上げでは収まらない」 問題は供給側に
中国の大学教授が警告「米国のインフレは利上げでは収まらない」 問題は供給側に
 米国のインフレが止まらない。6月10日に発表された5月の消費者物価指数は8.6%上昇。これは前月や市場予想よりも0.3ポイント高く、1981年12月以来の水準だ。3月の8.5%上昇を超えたことで、インフレがピークアウトしていないことがより鮮明となってきた。 これを受けてNYダウは急落、6月13日の終値は3万516.74ドルで引けており、5月20日につけた直近の最安値を割り込んでいる。チャートを見ると、NYダウは2022年1月5日の場中で付けた3万6952.65ドルを天井としてはっきりとした下落トレンドを形成している。 こうした米国の情勢は、困ったことに欧米機関投資家のリスク回避姿勢の強まりなどを通じて日本の株式市場に悪影響を与え、米国金利の上昇などを通じて円安モーメントを加速させる。「米国のインフレはいつ収まるのか」は、日本の投資家にとって非常に大きな関心事だ。 FRB(連邦準備制度理事会)は利上げによってインフレを抑制しようとしているのだが、もし、インフレの主な要因が需要側ではなく、供給側にあるとすれば、利上げによる効果は期待できず、長期的なスタグフレーションに陥る可能性も出てきてしまう。“インフレの要因が何であるか”を知ることは非常に重要である。 この点について、中国のマスコミが興味深い分析を紹介している。21世紀経済報道は6月10日、「今グローバルで起きているインフレ問題について如何に考えるか」と題して華南理工大学の田秋生教授の論考を掲載している。米国に限らずグローバルで起きているインフレのメカニズムを分析している内容だが、米国の状況もよく説明している。ここでは実証分析の部分は除き、ロジックの部分だけを簡単に紹介しておこう。インフレを引き起こす供給側の要因 インフレ発生のメカニズムとして、まず、新型コロナウイルス対策として行った大幅な金融緩和が要因であるといった一般的な見方について、明確に否定している。大幅な金融緩和を行ったので需要が拡大し、その結果として物価が上昇したとする理屈なのだが、これはいつもそうなるとは限らないと強調している。 量的緩和や利下げは借入のチャンスを増やし、そのコストを低下させるが、だからと言って企業は設備投資を拡大させるわけではない。企業は主に、設備投資のチャンスあるいはその期待収益率の水準によって投資を行うかどうかを決める。 ここ数年、世界経済は新型コロナウイルスのパンデミックの影響を大きく受けた。原材料の購入、製品の販売はいずれも困難となり、生産コストは上昇し、利益率が低下あるいは損失が拡大した。現状の生産活動を維持すること自体が難しくなり、新たな投資機会を探すのはさらにハードルが上がる。つまり、大幅な金融緩和が投資需要を拡大させるわけではないと説明している。 消費需要については、消費関数を例に挙げ説明している。消費は所得の見通しや負債状況などによって決定され、金利やマネーサプライとの相関は小さい。収入が増加するといった楽観的な見通しが立たない以上、消費需要の拡大は起こらないとしている。 結局、価格は主に供給側の要因で決定されている。現在起きているインフレの要因は、2020年に発生したパンデミック、2022年2月に勃発したウクライナショックにあると結論付けている。 パンデミックにより、グローバルで生産、物流に大きな影響が出た。2020年10月から2022年2月にかけてまず、エネルギー、原材料、中間投入財などの生産者物価指数が大幅に上昇し、それが消費者物価指数の上昇につながった。2022年3月以降は、ウクライナショック、欧米によるロシアへの制裁などによりグローバルなサプライチェーンが一部分断され、エネルギー、食糧供給が一部遮断され、その影響がパンデミックの影響に加わったことで、生産者物価、消費者物価ともに大きく上昇したと説明している。量的引き締めはは間違った政策か では各国政府、特に米国政府には、どういった対応が求められるのだろうか。 少なくとも、現在発生しているインフレは貨幣の過剰な供給が主な要因でないのであれば、FRBが行おうとしているQT(量的引き締め)、利上げなどの金融引き締めは間違った政策であり、この政策ではインフレを抑えるのは難しい。インフレを抑えるには供給側のショックをやわらげ、インダストリアルチェーンを安定させ、企業の生産、供給を安定させる必要が出てくる。企業サイドでは、主にエネルギー、原材料、部品のサプライヤーに対して価格を安定させる。消費者サイドでは、生活用品、特にエネルギー、食品の供給を安定させる……。 つまり、政府による価格、生産介入を含めたミクロの泥臭い対策が必要だと主張しているわけだ。 社会主義国「中国」の研究者に政策提言をされているようで、その点が気になる方もいるだろうが、リスクを負わなければならない投資家にとっては、結果がすべてである。このままではインフレ懸念が高まり、それこそインフレスパイラルが発生しかねない状況だ。事態は急を要する。 この分析が正しいと考えるのであれば、日本の投資家も、買いポジションを調整した上で、欧米機関投資家の保有比率の高い銘柄を空売りするなどの投資戦略も有効かもしれない。はたしてどうなるか。文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。
2022.06.15 07:15
マネーポストWEB
増加する小児の「急性肝炎」の原因とは
小児の「急性肝炎」増加 疑われるアデノウイルスの関与と新型コロナの影響
 今もその対応に悩まされている新型コロナウイルスだけでなく、人類は様々な感染症とともに生きていかなければならない。白鴎大学教授の岡田晴恵氏による週刊ポスト連載『感染るんです』より、増加する小児の「急性肝炎」の原因についてお届けする。 * * * 肝臓にウイルスが感染して肝細胞が壊れたり、その機能を損ねたりするなどして肝炎を起こすことがあります。これがウイルス性肝炎です。原因となる肝炎ウイルスはA型、B型、C型、D型、E型などが知られています。 現在、欧米を中心に小児の原因不明の急性肝炎の報告が相次ぎ、通常よりも高い頻度で患者が増えています。厚生労働省によると日本でも2021年10月から2022年5月19日までに原因不明の小児の急性肝炎の入院症例が24例報告されていますから、心配しています。 この小児の急性肝炎は、欧米など12か国169人の発症例(生後1か月から16歳)の報告では、患者の約1割が肝臓移植を必要とする重症例でした。犠牲者も出ています。このような重症な肝炎を子供に起こす原因となる一般的な肝炎ウイルスは見つかっていません。 現在のところはっきりとはしていませんが、英国の患者の約7割からアデノウイルスが見つかっていることから、アデノウイルス41型の関与が疑われています。アデノウイルスと一口に言っても多くの血清型があり、発熱、咽頭炎、眼症状などを起こす咽頭結膜熱(別名プール熱)や、「はやり目」とも呼ばれる流行性角結膜炎のように呼吸器、胃腸、眼症状などいろいろな病気を起こします。また、乳幼児の急性気道感染症の1割程度は、アデノウイルスによるものとされています。 一方、アデノウイルス感染による肝炎の発症はあまり聞いたことがありません。むしろ、アデノウイルスの感染で健康な子供に重症な肝炎が起こってくることは、これまでのこのウイルスの常識では「稀」と言えるでしょう。 小児の急性肝炎が起こった国々では、オミクロン株の累積感染者数が多いこともあって、新型コロナウイルスがアデノウイルスの感染に影響しているのかもしれないという推論もあります。新型コロナウイルスに感染して、一時的に免疫が低下したような状態でアデノウイルスに重複感染すれば、症状が悪化することもあるのかもしれません。 新型コロナウイルスの影響でこの2年半、いつもなら発生するさまざまな感染症の流行が起こっていません。アデノウイルスも流行していないことから、免疫をもっていない子供も多くいて、そんな子供たちの中で流行りやすい状況が出来上がっています。 現在、さらなる増加の兆候は見られませんが、予防は飛沫感染にはマスク、接触感染では手洗いとなります。高温多湿になるこれからの時期、屋外で人との距離がある場合や運動をする時はマスクを外し、人混みや会話では着けるなど熱中症対策も必要です。アデノウイルスでは消毒用アルコールの効果は限定的ですから、流水でしっかり洗い流す基本的な手洗いを今、再び思い出すことも大切ですね。【プロフィール】岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院を修了後、順天堂大学にて医学博士を取得。国立感染症研究所などを経て、現在は白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。イラスト/斉藤ヨーコ※週刊ポスト2022年6月24日号
2022.06.14 19:00
週刊ポスト
脱北を企てる人々が多くなっていることが金政権の頭痛の種に
北朝鮮の地方農村部で深刻な医薬品不足 鹿の血の乾燥粉末も高額取引される
 北朝鮮では新型コロナウイルスの感染が、中国からワクチンや薬品などが提供され、一段落ついたと伝えられるが、これらの医薬品のほとんどは首都・平壌で使われており、地方の農村部では依然として薬不足などで深刻な状態が続いている。このため、地方では鹿の血を乾燥した粉末や他の漢方薬などを用いているという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は「6月初旬の朝鮮労働党政治局会議で、新型コロナウイルスの感染状況は全国的に制御・改善されていると発表された」と報じている。 しかし、地方の人々は満足な治療は受けられていないのが実態だ。北西部の平安北道の住民は「平壌と地方では大きな差があり人々は本当に不満を抱いている。国家非常防疫司令部が集中審議を行い、緊急事態に備え備蓄している医薬品を迅速に配布すると通知したことで期待は大きかったが、その医薬品は平壌の人々や軍に配られ大変失望した」と語っているという。 鴨緑江を挟んで中国と国境を接する新義州市では風邪薬として使われる漢方薬が置いてある薬局もあるが、郡レベルの薬局は完全に空っぽだ。薬局は政府の命令で、24時間営業を強制させられているが、肝心の薬がないのに、販売員や警備員が昼夜を問わず薬局に居座っているだけになっている。 北東部の咸鏡北道・崇仁市では、高熱と咳を訴える患者がいても薬がないので、闇市で鹿の血のようなものに頼るしかない状況だ。同市の住民はRFAに対して、「闇市で取引される鹿の血の乾燥血粉は、小さな瓶でも5000ウォンという高値で売られている。また、アスピリンやアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤の偽造品も増えている」と語っている。
2022.06.13 07:00
NEWSポストセブン
【ドル円週間見通し】今週は上げ渋りか FOMCにも注意
【ドル円週間見通し】今週は上げ渋りか FOMCにも注意
 投資情報会社・フィスコが6月13日~6月17日のドル円相場の見通しを解説する。 * * * 今週のドル円は上げ渋りか。焦点の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが予想され、目先の政策スタンスが注目される。一方、日本銀行は現行の金融緩和策を継続する方針を示しており、日米金融政策の違いを背景としたドル買い・円売りは継続しそうだ。 米連邦準備制度理事会(FRB)は6月と7月のFOMCで0.50%の利上げが織り込まれ、政策金利に当たるFFレート(誘導目標上限値)は2.0%に到達。ブレイナードFRB副議長をはじめ引き締め継続に前向きで、年末時点で3%付近への上昇が予想されている。 ただ、5月半ば以降に発表された経済指標はフィラデルフィア連銀製造業景況やコアPCEデフレーター、住宅関連統計などは前回を下回る内容となり、引き締めによる懸念が浮上。FOMCで景気に配慮しタカ派色を弱めるなら、金利安・ドル安に傾く展開となりそうだ。 欧州中央銀行(ECB)は6月9日の理事会で7月の利上げ方針が示されており、会合後のユーロ売り・ドル買いは限定的となりドル・円の重石となる。一方、日本銀行は国内のインフレ圧力を認めつつも、異次元緩和を継続する考えを堅持しており、引き続き円売りが主要通貨を支える要因となる。ドル・円は134円台に浮上しており、2002年1月に付けた135円15銭が視野に入ってきた。【FOMC】(14-15日開催) FRBは14-15日開催のFOMCで0.50%利上げが見込まれ、金利高を手がかりにドル買いが進む見通し。ただ、0.5ポイントの追加利上げは織り込み済みのため、想定通りならドル買い・円売りが大きく広がる可能性は低いとみられる。【米・5月小売売上高】(15日発表予定) 15日発表の米5月小売売上高は前月比+0.2%と、4月の+0.9%から鈍化が見込まれる。ただ、個人消費全体はそれほど縮小していないとみられ、市場想定に沿った内容なら株安につながる可能性は低いとみられる。・13日-17日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。○(米)5月生産者物価コア指数 14日(火)午後9時30分発表予定・予想は、前年比+8.5% 参考となる4月実績は、前年比+8.8%。ロシアのウクライナ侵攻や中国での新型コロナウイルス関連ロックダウンを背景に、サプライチェーンの制約状況が深刻化している。生産者はコスト上昇に直面している。5月については4月実績に近い上昇率となる可能性がある。○(中)5月小売売上高 15日(水)午前11時発表予定・予想は、前年比-7.1% 参考となる4月実績は前年比-11.1%。新型コロナウイルス流行を受けた行動制限で消費が大きな打撃を受けた。5月についても厳しい行動制限が続いており、個人消費は著しく抑制されており、前年比ベースで大幅なマイナスとなる見込み。○(米)FOMC会合 15日(水)日本時間16日午前3時結果判明・予想は、0.5ポイントの追加利上げ FOMCの参加メンバーの多くが今後数回の会合で0.5ポイント幅の利上げを行うことが適切と考えており、FRBのパウエル議長も同じ考えを持っていることから、FRBが金融引き締めを継続する姿勢が再確認される見込み。○(日)日本銀行金融政策決定会合 17日(金)政策決定会合の終了予定時刻は未定・予想は、金融政策の現状維持 日本経済は感染症拡大前の水準を下回って推移し、景気回復の途上にあること、最近では、資源価格上昇による海外への所得流出という下押し圧力も受けている。消費者物価の前年比は、2%程度まで高まっているものの、エネルギー価格の上昇が主因であるため、現状の経済・物価情勢を踏まえると、日本銀行は現在のイールドカーブ・コントロールを軸とする強力な金融緩和を粘り強く続けるとみられる。○その他の主な経済指標の発表予定・13日(月):(英)4月鉱工業生産・14日(火):(独)6月ZEW期待指数・15日(水):(中)5月鉱工業生産・16日(木):(NZ)1-3月期国内総生産・17日(金):(英)5月小売売上高、(米)5月景気先行指数【予想レンジ】・132円50銭-135円00銭
2022.06.12 08:15
マネーポストWEB
値上げラッシュに逆行 北総鉄道がいま「運賃大幅値下げ」に踏み切る勝算
値上げラッシュに逆行 北総鉄道がいま「運賃大幅値下げ」に踏み切る勝算
 コロナ禍で利用者が減ったことから、通勤や通学の足として欠かせない鉄道の運賃値上げの動きが相次いでいる。今年1月に東急電鉄が2023年3月に初乗り運賃の値上げを発表したのを皮切りに、近畿日本鉄道、JR西日本、さらにはJR東日本、東京メトロなどがいずれも来年春からの値上げを発表。【写真】北総鉄道の7500形と、京急電鉄600形(3代目)の、駅での並び。値下げ前後の運賃比較表の一覧も ロシアのウクライナ侵攻によって、原油や天然ガスなどのエネルギー価格に加え、小麦をはじめ食料品の価格も高騰。世界的なインフレが加速する中、鉄道運賃も値上げラッシュの波から逃れられないようだ。 そうした中、なんと逆に「値下げ」に踏み切る鉄道会社もある。千葉県北西部の千葉ニュータウンと東京都東部を結ぶ北総線を運営する北総鉄道である。 これまで北総線は、度々「日本一運賃が高い鉄道のひとつ」と指摘されてきた。初乗り運賃は210円(ICカード利用なら203円)でそこまで高く感じないかもしれないが、距離が延びるにつれ小刻みにどんどん上がり、4~5kmで310円、10~11kmで520円、20kmで700円、全線(約32km)乗ると840円となる。これがどれほどかというと、たとえばJR東日本(電車特定区間)なら7~10kmで170円、11~15kmで220円、東急電鉄なら8~11kmで200円となり、距離ベースの運賃で考えると、実に他の鉄道会社の2倍以上高い水準なのだ。 印旛日本医大から東京へ行く機会が多いという、沿線住民の60代男性が言う。「京成線や都営浅草線への直通電車で東京へ行くと、片道で1000円、往復2000円以上はかかってしまう。沿線に住んでいると、その運賃の高さを実感します」 それが今年10月1日から運賃全体で平均15.4%もの値下げとなる予定だという。 まず普通運賃は、初乗りが210円から190円(ICカード利用なら188円)に引き下げられ、12~14kmは現行の580円(同580円)から480円(同475円)へと100円(同105円)も下がるなど中距離帯を重点に値下げされる。 さらに大幅な値下げとなるのが「通学定期」。千葉ニュータウンの東にある印西牧の原駅から都内の京成高砂駅間の通学定期運賃は、1か月定期が現行の1万4990円から4990円へと1万円引き、6か月定期では現行の8万950円から2万6950円へと実に5万4000円もの大幅値下げとなる。値下げ率は64.7%にもなり、同社が「子育て世代への配慮や若い世代の入居促進に繋がるよう、大幅な値下げ」というのも頷ける。また、通勤定期も普通運賃に準じて13.8%値下げされる。通学定期値下げで「若い世代の入居促進を図る」 それにしても気になるのが、この値下げが昨年11月19日に発表されたこと。コロナ禍ではあったが、ロシアのウクライナ侵攻前であり、原油などのエネルギーや食料品などが高騰する前の話である。鉄道経営においては、利用者の減少はもちろん、エネルギー価格高騰による電気料金の値上げも収益にとってマイナス材料であるはずだ。環境が変わったことで、値下げの“勝算”に狂いは生じていないのか。 北総鉄道企画室に聞いたところ、「運賃値下げは予定通り行なう方針」として、次のように説明する。「今後の事業環境の見通しとして、沿線の一部において人口減少が顕在化していることに加え、新型コロナウイルス感染拡大による新しい生活様式が浸透し、今後の都心への通勤需要等も先行き不透明な状況であることから、こうした状況を総合的にかつ慎重に検討を重ねた上で、利用者の声や沿線自治体との活性化施策との整合性などを勘案し、利用しやすい輸送サービスの提供を行っていくとともに、当社としての事業基盤の維持・向上を図るために今回の運賃値下げを行うこととしたものです」 そして、今後の“勝算”について、こう語る。「新型コロナウイルスによる影響が一定程度残ることが予見されるものの、今回の運賃値下げは、若い世代の入居促進を図るため、家計に直結する通学定期を大幅に実施するとともに、中距離帯の値下げ幅を大きくすることで、北総線内の移動を促進し、沿線全体の活性化に資するような運賃体系とするものです。これらはいずれも会社の経営の持続性や安定性を確保できる範囲での値下げを行うものであり、当社といたしましては、今まで以上に自治体など地域の皆様との連携を強化し、沿線のさらなる発展を図るとともに、選ばれる沿線となるために一層努力していく所存です」 値上げラッシュの波に逆行するかのように運賃値下げに踏み切っているのは、北総鉄道だけではない。たとえば小田急電鉄では、今年3月からICカードを利用すれば小児運賃を全線どこまで乗っても「一律50円」を実施している。はたして運賃値下げによって想定される減収分をどうカバーしていくのか。鉄道各社の戦略に注目していきたい。
2022.06.09 07:15
マネーポストWEB
脱北を企てる人々が多くなっていることが金政権の頭痛の種に
北朝鮮 国境警備の兵士らに中国製ワクチン接種開始の一方で偽薬品出回る
 北朝鮮では新型コロナウイルス感染によるとみられる高熱患者が300万人を超えるなか、非常事態に対処するため結成された「国家非常事態検疫司令部」が、中国政府の協力を得て、中国が製造した「シノバック」製のワクチンを入手。金正恩朝鮮労働党総書記の指示により、最初にワクチンを接種したのは中朝国境を警備する第31国境警備局第1旅団だったことが分かった。 北朝鮮では人口が最も多い首都・平壌がロックダウンとなり、市民はワクチン接種を待っているが、やはり優先されたのは軍だった。米政府系報道機関「ボイス・オフ・アメリカ(VOA)」が報じた。 感染が急速に拡大するなか、北朝鮮政府は中国政府に緊急支援を要請。その後、国家緊急検疫司令部の代表団が、中国に派遣され、シノバック製のワクチンの供与を受けたという。 平壌の情報関係者はVOAに対して、中国からのワクチンは船で運ばれ、中国との国境地帯で軍務についている国境警備局のパトロール隊と国境に駐留する兵士が最初に接種を受けた。また、同時に同司令部メンバーにも接種されたという。 ワクチンは北朝鮮に無償で提供された可能性が高いが、約2600万人の国民全体に行きわたるにはかなりの時間が必要とみられる。 北朝鮮では、初期段階での感染者は4月の軍事パレードに参加した軍人が主だったため、軍医が中心になって、軍人へのワクチン接種が優先されている。 このため、市民は発熱しても市販の薬を買って服用している状態だが、薬が品薄状態でなかなか手に入らないという。ある関係者はこう語る。「時々、薬剤師や売人が風邪薬を売っていますが、そのほとんどは偽物。咸鏡北道の清津市では高熱を出した患者が平壌製薬工場で製造されたとする風邪薬を飲んでいたが死亡した。中国で製造された風邪薬はほとんどなくなり、偽造薬が製造されているようだ」 ある病院関係者は「新型コロナウイルスの患者が急増するにつれ、病院はすぐに手いっぱいになっている。症状を緩和するための薬も枯渇しているので、状況は厳しくなる一方だ」と語っている。
2022.06.01 07:00
NEWSポストセブン
脱北を企てる人々が多くなっていることが金政権の頭痛の種に
感染拡大続く北朝鮮 脆弱な医療体制で高齢者、妊婦、児童らにしわ寄せ
 新型コロナウイルス感染者が急増する北朝鮮の首都・平壌市では、医療従事者が不足しているため、医学生が動員されていることが明らかになった。しかし、医療技術が未熟なため、適切な治療が行えず、死者が増え続けているという。とくに、高齢者や高血圧や糖尿病などの慢性疾患を持つ人々が適切な治療を受けられずに死亡しているほか、妊婦なども満足な治療を受けられず、症状が悪化する例もあるようだ。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 北朝鮮では5月初め、感染対策の指揮を執る「国家非常防疫司令部」が組織され毎日発熱者の統計をとっている。5月25日の時点で、約300万人の国民が発熱し、うち約100人が死亡、約150万人が回復し完治、150万人が治療中であると報告されている。しかし、この「完治」とは、新型コロナウイルスの完治ではなく、発熱症状が消失したことだけを意味する。 人口290万人の首都・平壌は人口が密集しているため、ロックダウン(都市封鎖)状態となり、メディアは「緊急事態を宣言し、市内の各病院から医師を動員し、医学生まで動員し始めた」と報じている。 市内の情報筋はRFAに対して、「平壌市民はすべて強制的に集中的な健康診断を受けている。毎日2回、体温をチェックし、異常な症状があれば報告しなければならない」と語っている。 非常事態となったことで、北朝鮮当局は戦争時のために備蓄していた緊急用医薬品を放出し始め、盗用を防ぐために薬局に軍人を配置しているという。 一方、北朝鮮の教育省は5月11日、平壌市内のすべての小中高校に対し、対面授業を中止し、オンライン学習に切り替えるよう命じた。しかし、自宅にパソコンを持っている児童は全体の2~3%にすぎないとされ、「この教育省の指示はまったく無意味だ」と情報筋は指摘している。 さらに、5月2日、牡丹峰地区の中学校で23人の生徒のうち5人が高熱と咳の症状を示したほか、別のクラスの他の生徒も同じように高熱と咳の症状を示したため、学校は直ちに授業を中止し、国家非常検疫司令部の指示の下、全生徒を帰宅させたという。 ある住民はRFAに対して、「最初に症状が出たのは、軍事パレードに観客として動員された中学生であることを(当局が)確認した 」と明らかにしている。その後、北朝鮮全土では小中学校の発熱者数は数千人規模で増えているという。 首都平壌の北にある平安南道安州市では、住民約200人が重症者としてホテルに隔離され、毎日2錠の鎮痛剤だけを与えられているというが、妊娠中の女性もおり、出産を控えた人が必要な適切な治療が受けられず、死産したケースもあったようだ。 いずれもしても、北朝鮮では病人や高齢者、児童、妊婦など社会的弱者ほど、悲惨な境遇に置かれている。
2022.05.29 07:00
NEWSポストセブン
死因について様々なうわさも
中国の李克強首相が地方をノーマスク視察 ゼロコロナ政策との矛盾に注目
 中国の李克強首相が5月中旬、中国内陸部雲南省の政府機関や大学、民間企業や少数民族の家庭などを視察した。習近平国家主席ら他の中国共産党の最高幹部とは違い、視察中ずっとマスクをつけないで市民らと対話しており、李氏を取り巻く聴衆もノーマスクだったことが関心を集めている。 李氏は習氏とは政治的なライバルであり、水面下で激しい権力闘争をしているとの見方があるなか、李氏が衆人環視の中でマスクをつけなかったのは、新型コロナウイルスの感染防止のため、習氏が主張する「ゼロコロナ」政策への当てつけではないかとの指摘も出ている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 李氏が訪問したのは雲南省の省都、昆明市とその周辺の少数民族居住地で、昆明市では最初に民営の運送会社の社長の自宅を訪問。李氏は最近の運送業の状況について尋ねると、社長は「新型コロナウイルスの感染防止対策で、他の省に出ることが難しく、雲南の新鮮な野菜や果物を全国に届けることができない。収入が少なくなっている」と答えた。 李氏は「私は必ずあなた方が困難を乗り越えるのを助ける。特に運送業界の問題を解決して、この野菜と果物を全国の家庭に届けることを決意した」と社長を激励したという。 李氏は雲南省東部の観光地である曲靖市の少数民族の村でも、市民に生活状態を質問。彼らは「コロナ対策で観光客が来ないので生活が苦しい」などと口々に訴えた。李氏は「観光客が来ないため、借金が返せないのは大変だ。私はこのような苦しい時期を乗り切ることができるように、しっかりと努力する」と答えている。 また、李氏は雲南大学を視察し、学生らと懇談し、リラックスした調子で「雲南大学はやはり注目に値する。将来、雲南大学は君たちを誇りに思うようになるだろう」と述べると、学生たちは「総理、ありがとうございます」などと語り、大きな拍手が巻き起こった。 この1泊2日の視察の間、李氏一行はマスクをはずしており、また雲南大学などの視察先の人々もマスクをつけていなかった。一方、習近平国家主席は5月5日の党政治局常務委員会で、「常に冷静な思考を保ち、動的ゼロコロナという全体方針を常に揺るがず堅持する必要がある。堅持こそが勝利だ」と述べている。習氏のゼロコロナ政策と矛盾する李氏一行の視察時の行動には、いったいどんな意図があったのだろうか。
2022.05.25 07:00
NEWSポストセブン
国内で子供の急性肝炎の報告が増加する背景は?(写真=Avalon/時事)
子供の急性肝炎が“原因不明”の急増 コロナ禍での感染症対策との関連も指摘
 新型コロナの感染者数が高止まりし、子や孫を持つ大人たちは依然、気を緩められない日々が続いている。そんななか、大人たちの不安に拍車をかける「原因不明」の病が流行の兆しを見せている。 国内で子供の急性肝炎の報告が増加している。4月25日、厚労省は国内初の患者を確認したと公表したが、その後も報告は相次ぎ、5月18日までに16歳以下の子供12人に急性肝炎が確認されている。いずれも死亡や肝移植などの重症化例は報告されていないという。 海外でも報告が相次いでいて、なかには重症化例も確認されている。 イギリス保健当局は4月6日に、小児の急性肝炎が高い割合で確認されていると公表し、5月3日には患者が163人に達していると発表した。その多くが5歳未満の小児で、嘔吐や下痢などの初期症状のあと、濃い色の尿や灰色の便が出て、皮膚や白目が黄色くなる黄疸が出るのが特徴で、死者は出ていないものの、重症化した小児10人以上が肝移植による治療を受けた。 アメリカでも109人の患者が報告され、うち5人が死亡している(米疾病予防管理センターの5月6日の報告)。 発生は世界同時多発的で、欧州疾病予防管理センター(ECDC)の5月11日の発表によると、イスラエルやイタリアなど世界27か国で発生していて、患者は計450人にのぼるという。 この小児の急性肝炎が不気味なのは、原因が不明とされていることだ。帝京大学大学院公衆衛生学研究科の小児科医、高橋謙造医師はこう語る。「今回の肝炎はウイルス性のものと推測されていますが、まだ原因となるウイルスは特定されていません。診察の現場では、ここ最近、嘔吐などで小児科を受診された親御さんから、『急性肝炎ではないですか?』と聞かれることが非常に増えています。原因不明で、重症化することがあるというのが、親御さんを不安にさせる原因でしょう。『ただでさえ共働きで、コロナにも戦々恐々としているのに、急性肝炎まで流行ったら怖い』とおっしゃる方も多いです」 日本小児肝臓研究会の発表によると、以前から子供の原因不明の急性肝炎は年に10件程度あるということだが、この短期間で例年を超えるペースとあって、同研究会は近く調査チームを立ち上げることを表明した。日本小児栄養消化器肝臓学会でも精査・治療をするべく準備を進めている。「日本は海外に比べると症例数が少ないので、小児科学会などもまだ明確な情報を発信していません。先行して調査しているイギリスをはじめとした海外の報告を待つしかない状態が続いています」(高橋医師)気付いた時には重症 肝臓は栄養を蓄えたり毒素を分解したりする臓器だ。肝炎とは、何らかの原因で炎症が起き、細胞が破壊されて肝臓の機能が低下する病気である。原因はさまざまあり、大きく分けると、「ウイルス感染」「化学物質(薬物・毒物・アルコールなど)」「自己免疫」の3種類がある。 もっとも多いのが肝炎ウイルスによる肝炎で、A~E型まで5種類あり、A型は生牡蠣などを食べて感染するケースが多く、B型やC型は輸血や性交による感染や母子感染が主体である。 今回の小児急性肝炎にウイルスが関係していると推定されているのは、子供の場合、原因が「化学物質」であるとは考えにくく、「自己免疫」はもともと非常に稀なケースだからである。 ナビタスクリニック川崎の内科医・谷本哲也医師は小児の急性肝炎についてこう説明する。「肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれているほどで、よほど悪くならないと症状が出ない。検査して初めて気付くことが多いのですが、子供の場合、採血する機会がほとんどないので、より気付かないことが多い。そのため急性肝炎は大人で見つかりやすく、子供では非常に珍しい。今回、厚労省が発表した12人には重い症状が出ていたのではないかと推測できます」 コロナと同じく、感染しているが無症状だったり、極めて軽症だったりして気付かないケースはかなり多いと考えられるという。 では、急性肝炎の原因と見られているウイルスは何か。 5月11日までに世界で約450例の原因不明の小児急性肝炎が報告されていて、イギリスでは約7割の例で「アデノウイルス」というウイルスが検出されていることから、関連が指摘されている。「アデノウイルスは、流行性角結膜炎(はやり目)やプール熱、感染性胃腸炎などの原因になる身近なウイルスで、80以上の型があります。今回、検出されたのは41型で、胃腸炎を起こすウイルスとして知られていますが、重症化はしにくく、肝炎を起こしやすいウイルスとも考えられていません。そのため、患者の体内にたまたまいただけという可能性も否定できず、現時点では因果関係は不明です」(谷本医師) 実際、国内で厚生労働省に報告があった12人のうち、アデノウイルスの検査で陽性だったのはわずか1人。しかも、感染したアデノウイルスのタイプは英国で確認された41型とは異なっている。 こうした背景から急性肝炎の原因を特定するには時間がかかるという。「小児の臨床においては症状の原因が不明であるというのはよくあることです。たとえば、発熱という症状一つでも、原因はさまざまあり、100%特定することは困難です。今回は海外で肝移植が必要なほどの重症例が出てきたので注目を集めていますが、子供は症状に気付きにくく、親にうまく伝えられないことも多い。親が気付いていない基礎疾患を抱えていることもある。原因を特定するにはかなり時間がかかると思います」(高橋医師)コロナ対策の弊害との指摘も 今回の子供の急性肝炎は原因不明とされているだけに、さまざまな説が出ている。一部では、コロナワクチンが免疫に影響を与えたのが原因ではないかという指摘もある。5歳以上の接種が始まったこともあり、ワクチンと急性肝炎を関連付けて不安になっている保護者もいるが、この説について高橋医師は否定的だ。「症例で報告されているほとんどが5歳以下で、海外でも日本でもコロナワクチンの接種年齢ではない。だから、ワクチンは関係ありません。コロナ感染の既往歴と関連があるという明確な根拠を示した論文や発表も出ていませんが、これについてはデータが集まってこないと何とも言えないでしょう」 では、仮にアデノウイルスが原因だとすると、一つの疑問が浮かぶ。昔からあったウイルスが、なぜ子供にだけ急性肝炎を引き起こすようになったのか。 高橋医師は、この2年間のコロナ禍における感染症対策により、子供たちが「免疫負債」を抱えてしまったのではないかと推測する。「子供は幼いうちにさまざまな感染症にかかることで、強い体を作っていきます。手足口病などのウイルス性感染症に何度も感染しながら、高熱にも耐えられる体ができる。これはあくまで一つの仮説ですが、コロナ対策によって感染症を遠ざけた結果、免疫の基礎を持たない“免疫負債”を抱えた子供が増えているのかもしれません。本来かかるべき年齢を超えて感染したとき、症状がより強く出てしまうことも考えられます」 現実に、子供の感染症流行の状況には、異変が起きている。 昨年の冬は、例年、夏に流行る「手足口病」や「ヘルパンギーナ」が季節外れの拡大を見せ、過去5年の同時期では最高水準を記録した。一昨年は激減した「RSウイルス」も、昨年は春先から大流行し、コロナ禍前を上回るほどの感染者が出ている。 子供の免疫が弱まっているために、通常では発症しない急性肝炎が起きている可能性は否定できないという。「もし急性肝炎の原因がアデノ41型なら、ある程度感染数が増加するかもしれませんが、逆にアデノが原因なら、死亡例がそんなに増えるとは考えにくい。ウイルスが強毒性に変異していれば死亡例が増える可能性がありますが、コロナウイルスと違いアデノウイルスはもともと変異しにくい性質を持っています。それほど怖がる必要はないと思います」(高橋医師) では、子供を急性肝炎から守るためにできることは何か。「アデノウイルスはノロウイルスと対策は同じで、石鹸での手洗いを徹底することです。コロナウイルスにはアルコール消毒が効きますが、ノロやアデノにはアルコールが効きません。石鹸で洗い流すのが有効です。 急性肝炎を診断するには、血液検査をして肝機能のデータを見る必要がありますが、そこまでしなくても判断する方法があります。肝炎の特徴的な症状は、皮膚や白目が黄色くなる『黄疸』や淡い灰色の便が出ることで、子供が腹部の違和感を訴えているようならこの2点を注視することです。仮に急性肝炎だとしても、ほとんどは回復しているので、パニックにならず、落ち着いて病院を受診してください」(高橋医師) 今の段階で大人ができることは子供の様子をこれまで以上に注視することだ。※週刊ポスト2022年6月3日号
2022.05.23 19:00
週刊ポスト
脱北を企てる人々が多くなっていることが金政権の頭痛の種に
連日20万人以上の発熱者でロックダウンの北朝鮮 食糧難で餓死者増の危機
 北朝鮮では新型コロナウイルス感染が疑われる発熱者数が連日20万人以上にのぼっている。しかし、北朝鮮国内には感染防止のためのマスクや防護服などの医療用品や、肝心のワクチンや薬品が不足しているため、北朝鮮政府は、中国政府に支援を要請して、大量の医療物資を空路で輸入していたことが明らかになった。さらに、5月16日にも追加の物資を大量に搬入している。 事態を重視した韓国や米国も北朝鮮に対して支援を申し出ているが、北朝鮮側からの返答はないという。一方、市民はロックダウンで食糧不足に陥っており、不満が高まっていると米政府系報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」が報じた。 北朝鮮は5月12日、金正恩朝鮮労働党総書記が党政治局会議を開催し、首都平壌で初めて新型コロナの感染を認め、「建国以来の大動乱」と表現し、強い危機感を示した。その後、当局は北朝鮮全土の都市にロックダウンを指示している。 しかし、北朝鮮の情報筋はVOAに対して、北朝鮮が先月末から中国東北部で解熱剤、酸素マスク、体温計、防護服など新型コロナウイルスの感染防止のための医療用品を大量に発注し始めていたことを明らかにしており、金総書記が感染拡大を発表する2週間以上も前に、すでに北朝鮮国内では感染が拡大し収拾が付かない状態になっていたとみられる。 世界保健機関(WHO)は「北朝鮮はまだワクチン接種を開始していない2カ国のうちの1つであり、すでに感染が拡大していることから、北朝鮮の医療システムが崩壊していることを示している」と指摘している。 北朝鮮当局は事態を打開するため、各地に駐屯している軍隊や警察部隊に警戒を強化し、道(県に相当)から道、また道内でも人の移動を完全に禁止するよう命令した。しかし、それと同時に各地域への物資の搬入もストップしており、市場には食料品など物資がほとんど入荷しないため、市民は極端な食糧不足に陥っているという。 咸鏡北道の情報筋は「市民はすでに餓死寸前で、新型コロナウイルスによる被害よりも、食糧不足による餓死の心配の方が深刻だ」などと語っている。
2022.05.23 07:00
週刊ポスト
不動産市況が悪化の一途をたどる中国
北京大学の学生らが抗議集会「教員と学生の寮に突然の柵設置は差別的措置」
 中国では、新型コロナウイルスの感染防止対策のため、北京の複数の大学で極端な隔離処置がなされている。これに対して学生らがデモや集会などの抗議行動を行い、大学当局と対立、警察が動員されるなど一触即発の状態に陥っている。米国を拠点とする中国問題専門ウェブサイト「博訊新聞網」などが報じた。 北京大学の学生と職員の居住区「北京大万柳公寓区」では、学生ら3000人が寮から出られず、食事にも事欠く生活を強いられているのに対して、職員らは自由に移動できるとの差別待遇に学生の怒りが爆発。5月15日夜に学生の一部が暴徒化して、警察が出動する騒ぎがあった。 その発端はこうだ。学生エリアと教員エリアを物理的に分けようと中央の庭に柵を建設している作業員をある学生が問いただしたところ、大学当局からの指示であることが分かった。この事実は学生の間にすぐに広まり、学生ら数千人が現場に集まった。 これに対して、北京大学の陳宝健・副学長兼中国共産党北京大委員会副書記が説得に当たったが、学生らは納得せず、警官隊が出動。その後、陳氏は各寮を訪ねて、希望を聞くことを約束したため、事態はようやく収まったという。 一方、北京第2外国語大学でも新型コロナウイルス感染防止のため、大学当局は学生らの校外への出入りを制限。やはり生活居住区を柵で囲うとの措置をとった。 しかし、これらの対応策について、事前に学生側に通知がなかったため、学生ら数百人が集まり、大学当局を批判する集会を開いた。これに対して警官隊が出動し、一時は騒然とした雰囲気に包まれた。しかし、同大でも大学の当局者が学生側と相談することで、学生側も納得したという。 北京では大学など教育機関が集中する海淀区やビジネス街である朝陽区などで、新型コロナウイルスの感染が拡大し、事実上のロックダウン状態に陥っている。とくに、学生街である海淀区では、学生らがSNSなどで、「学生を差別している」などとの不満を訴えている。
2022.05.22 07:00
NEWSポストセブン
新型コロナウイルスの感染拡大以降、3年ぶりに会場で開催された「ニコニコ超会議」で、ビデオでワクチン接種を呼びかける岸田文雄首相(時事通信フォト)
「ワクチンは打ちたいけれど」 今さら気軽に打てないと嘆く人もいる
 ワクチンを打つべきかどうか、マスクを着用すべきかどうか、誰かに決めてもらうのではなく自分で決めなければならない場面に直面させられて、戸惑い、不安を抱える人たちがいる。ライターの森鷹久氏が、ワクチン接種をめぐり理不尽なことばかり自分に起きるという人の嘆きをきき、今のコロナ対応では救いきれない人たちの存在について考えた。 * * * 新型コロナウイルスのワクチンについて、我が国内において政府が推奨する「3回接種」を終えた人は、総人口の50%を超えたという。筆者の周りには、3度目の接種を終えていないという人もチラホラいるが、一部で目立っている強烈な「反ワクチン」思想を抱く人は、それほど多くないと言った印象だ。 しかし、今なお「ノーワクチン」状態だという都内在住の販売店勤務・丸尾菜美さん(仮名・30代)は、もはや打ちたくても「気軽に打てる状況ではない」と訴える。「元々ワクチンは怖いという印象があり、インフルエンザワクチンも、大人になってからはほとんど打っていません。コロナワクチンに対しては、さらに疑問を抱いていました。マスコミや行政が一様に『打つべき』と言っているのも怖くて、反ワクチンの人たちの書き込みやブログ、動画を見ているうちに、絶対に打ちたくないと思うようになりました」(丸尾さん) ワクチンは、いわゆる「ゼロリスク」というものではないのも事実。起こり得る副反応などとリスクの大きさを比較して、多くの人が接種することが公衆衛生上で有効であるとの判断から実施されているので、個々人の「気持ち」は考慮の材料としてさほど大きな要因になりえない。だからこそ、接種について不安が拭いきれない人がいるのも無理はない。丸尾さんはこの消えない不安を解消するために、反ワクチン論者の言説に触れ、そして積極的に理解しようとした。その結果、ぼんやり程度だった不安を肥大化させてしまったのである。 では、気持ちが固まって落ち着いたのかというと、そうはならなかった。反ワクチンを主張する人々とのやり取りでは、違和感も感じたのだ。「最初は打つも打たないも個人の自由、と言われていてその通りだと思ったんです。でも、反ワクチン系の人たちは次第に『打つことは悪』というふうに変わっていってしまい、ワクチンの非接種を強要し始めました。もちろん、打つべきという政府も、打つも打たないも自由とはいいつつ、社会の空気に強要されているように感じ、受け入れがたかったのですが」(丸尾さん) 右が嫌だから左に行くと、左の雰囲気にもなじめずに「どこにも行き先がない」と感じているらしい丸尾さん。社会生活をしていれば、学校で会社で、同じような思いをすることは少なからずあり、今回もその一つとして受け止めるしかないのかもしれない。だが、みずから「親や先生の言いなりみたいに、可もなく不可もなく生きてきた」というだけあり、接種するかしないか、初めて自分だけで「決断」しなければならない状況に追い込まれ、パニック状態に陥ってしまっているようだった。 そして、丸尾さんの勤務先で決定的な出来事が起きる。ワクチン接種済みの女性上司がコロナに感染し、丸尾さん以外の店舗従業員全員の感染も、のちに発覚したのである。「女性上司の旦那さんは同じ会社の本社勤務の幹部で、ノーワクチンだと威張っているような方でした。でも、女性上司の感染が発覚後、旦那さんも、同じ部署の人もみんな感染していたのか濃厚接触者に認定されたのか、誰も出社していなかったんです。結局、症状もなく女性上司との濃厚接触がなかったの私一人で店を回すことになり、ゴールデンウィークの休みもゼロ。ワクチンを打ってても感染するのに、結局私はワクチンを打っていないし、かかっても平気だろうということなのか、私だけが駆り出された形です」(丸尾さん) 自分は被害者ではないのか、そう考えてネットでいろいろな情報に触れるうちに、様々な思いが去来したという丸尾さん。打つべきか打たぬべきか、結局誰が言っていることが正しいかもよくわからない。丸尾さんの中では「調査」のつもりだったのだろうが、思い込みによって自身の求める情報、好みの情報ばかりをつまみ食いし、情報の精査も行ってこなかった。気が付いた時には、自分自身がどこに立っているのかすらわからない、そんな気持ちにもなったという。 いま、丸尾さんはワクチンの接種を検討しているので、先日、最寄りの保健所に電話で相談した。ところが、「なぜ打たなかったのか」としつこく理由を聞かれ、最後には「最初から打っておけば心配することはなかった」と言われ、自分が非難されているような気分にさせられたというのだ。もっとも、これはあくまで丸尾さんの気持ちがそう受け取ったのであって、保健所窓口の担当者が、個人的な非難の気持ちをぶつけてきた確証はない。 3年もの間コロナ対応に忙殺される保健所や病院などの対応に、新規感染者が幻滅する例もある。わかりやすく言えば、病院や看護師は「コロナ慣れ」しているから患者対応も淡々と進めるだけだが、患者のほとんどは「初感染」。怯える感染者と病院や看護師のテンションにはすでに大きな差があるのだ。「なぜ今までワクチンを打たなかったか」というのは、ただたんに最初に発送された接種券が使われなかったことの理由を報告のために聞いているだけの可能性が高く、最初から打っておけばというのは、今後のワクチン接種も早めにお願いしますという意味しかなかった可能性が多い。しかし、不安な気持ちを持て余している丸尾さんのような人たちからは「対応が雑」と思ったと愚痴が聞こえてくることも少なくない。 そして、丸尾さん個人の問題はまだ解決していない。気後れから、今なお接種への踏ん切りがつかないという。「社内では、わざわざ『接種をしてない方へ』というメールが全員に送られてきます。打ってない人だけに送ればいいものを全体送信しているのも意図を感じる一方で、店舗で感染者が出た件は全体に周知されていない。打つのも打たないのも自由、と言っていた人はワクチン接種推進派、否定派のどちらにもいなくなっていて……」(丸尾さん) 打とうとすると「今更」と言われ、打たないと白い目で見られる。以前にもまして、何が正しく、誰が言っていることが本当なのかわからなくなったという丸尾さん。気持ちに振り回されて決断や行動ができない丸尾さんのような人は、特殊な事例ではなく、ありふれた人として大勢、存在するだろう。誰もが理性的になり冷静に決断することはできないものだ。どちらかというと、人当たりがよく皆に好かれるようなタイプの人が多いかもしれない。それが、この厳しい現実のもとでは弱者のような存在になってしまうとは。 新規感染者数が落ち着いてきたとはいえ、まだまだ余談をゆるさない状況は続いており、対応に追われる部局はどこも目の前のことで精一杯なままだろう。まだしばらくは、不安な気持ちで困っている人たちの救済や丁寧な説明について、正直なところ、後回しにせざるを得ないようだ。
2022.05.21 16:00
NEWSポストセブン
(写真/PIXTA)
増加する子供の「原因不明肝炎」 コロナ、プール、犬などとの関連を指摘する説も
「ただの風邪だろう」──その判断が子供の命を奪うかもしれない。新型コロナウイルスの第6波が収まったかのように見えるいま、子供たちが密かに新たな脅威にさらされている。欧米で増加している「原因不明の肝炎」だ。発症のメカニズムがわからないなか、命を守る方法とは──。 ぐったりとした娘を抱えて病院に駆け込んだのは、「ウイルス性の風邪でしょう」と診断された翌日のことだった。幼い娘の両目は黄色く濁り、ピンク色だった頰は黄色く変色し始めていた。 嘔吐と黄疸に加え、意識が朦朧とするなど、一刻を争う状態だった。集中治療室に運ばれた後、新たに告げられた病名は「急性肝炎」。さらに、「健康な肝臓を移植しなければ、命は助からない」と医師から宣告された──。 つい2、3日前まで元気だった子供が臓器移植が必要な体になる。信じがたい話だが、今年3月、イギリスで実際に起きた出来事だ。 いま、0~16才の子供が原因不明の肝炎を発症するケースが世界的に急増している。 小児肝臓病を専門とする近畿大学医学部小児科の医師・田尻仁さんは次のように説明する。「欧米を中心に子供が肝炎を発症し、重症化するケースが報告されています。症状としては、嘔吐や食欲減退に始まり、黄疸によって顔や白目が黄色くなる、尿の色が濃くなる、白色便が出るなどがある。意識が朦朧としたり、けいれんを起こすこともあります。適切な医療を受けなければ、3~4日で死に至る可能性があります」 怖いのは、高熱が出たり、痛みを伴うことが少なく、自覚症状が軽いことだ。ただの風邪だろうと受診を遅らせ、検査の結果、肝炎と診断される頃には重症になっているケースが少なくないという。さらに治療は急を要する。「まずは対症療法として、点滴をしたり、血液中にたまったアンモニアなどを除去するために血液浄化治療を行います」(田尻さん・以下同) 対症療法だけでは回復しない場合、残された手段は臓器移植のみだ。「目下、アメリカでは肝炎を発症した子供の14%が臓器移植を受けています。2~3日で症状が急激に悪化するケースでは、臓器バンクからの臓器提供を待つ時間がないため、家族など近親者から提供してもらうことになります」 今年4月にWHOがイギリスで、原因不明の急性肝炎を発症する子供が増えていることを発表した。以来、世界中から同様の報告が相次ぎ、欧州疾病予防管理センター(ECDC)によれば、この4月以降、世界中で0~16才の子供450人以上が原因不明の肝炎を発症しており、そのうち30人近くが肝臓移植が必要と診断され、12人が命を落としているという(5月17日現在)。 さらに特筆すべきなのは、肝炎を引き起こす原因がわかっていないことだ。 肝炎は、通常A~E型の5種類ある肝炎ウイルスへの感染が原因となって発症することが多い。しかし、現在急増している子供の肝炎では、従来のウイルスが検出されていないのだ。 この原因不明の子供の肝炎は、海の向こうの話ではない。厚生労働省の発表によると、日本国内でも昨年10月以降、12人が原因不明の肝炎を発症しており、近く専門医などによる調査チームを立ち上げることが発表された。 今年3月に急性肝炎になった9才の男の子は、突然、何時間も嘔吐が止まらなくなり、胃液だけでなく緑色の胆汁まで吐いたという。次第に意識が朦朧とし、立ち上がることもできなくなった。 病院で血液検査を受けたところ、健康であれば0~40ほどに収まる肝臓の数値が1100を超えていた。急性肝炎と診断されたが、A~E型の肝炎ウイルスはいずれも陰性。一方で、新型コロナウイルスに感染していたことが判明した。プール授業再開に断念 新たな肝炎の原因は何なのだろうか。理由の1つとして考えられるのが新型コロナとの関連性だ。 イギリスで原因不明の肝炎を発症した子供126名を対象に行った調査では、約20%が新型コロナウイルスに感染していた。 また、同じ調査で新型コロナウイルスよりも高い感染率だったのが、「アデノウイルス」だ。肝炎発症者の約70%から検出された。「アデノウイルスは、発熱や咳、喉の痛みなどの風邪症状を引き起こす感染力が強いウイルスで、『プール熱』と呼ばれる咽頭結膜熱や、『流行り目』と呼ばれる流行性角結膜炎の原因となります」(国際未病ケア医学研究センター長・一石英一郎さん) しかし、これまで肝炎を起こすアデノウイルスはほとんど報告されていなかった。子供の肝炎と因果関係があるとすれば、どのようなことが考えられるのか。一石さんは、「あくまでも推測ですが」と前置きした上で、次のように語る。「まずあげられるのは、アデノウイルスが変異して、肝臓に直接何らかのダメージを与えたという考え方です。イギリスの保健当局も可能性について調査しています」 次に考えられるのは、新型コロナとの同時感染や既往歴が原因という説だ。「新型コロナに感染することで、肝臓の免疫機能に何らかの変調が起きた。その結果、アデノウイルスが肝細胞に侵入しやすくなった可能性があります」(一石さん・以下同) 加えて、犬が原因という説まで出ている。イギリス保健省の調査によると、発症した子供のうち70%の家庭で犬を飼っていたという。 仮にアデノウイルスが何らかの形で肝炎を引き起こしているとしたら、6月以降、日本でも、この子供の肝炎の“パンデミック”が起こるかもしれない。というのも、現在、各国で確認されている「F種41型」というアデノウイルスは、国立感染症研究所のデータによると、コロナ禍以前の日本では6月に最も多くの感染例が報告されていたからだ。 その理由の1つが子供たちが待ち望んでいるプールの授業である。「塩素による消毒が不充分な場合、プールの水を介してアデノウイルスの流行が広がることも多い。『プール熱』と呼ばれているのはそのためであり、例年、6月から夏にかけて子供を中心に感染が広がることが知られています。新型コロナの影響で中止していたプールの授業を今年から再開する学校が多いため、一気に感染が広がる可能性があるでしょう」 また、6月には海外からの入国者数の上限が1日1万人から2万人に引き上げられることも見逃せない。変異したアデノウイルスが原因の場合、新型コロナのように国内に流入し、爆発的に広がる可能性もあるのだ。 現状では、原因不明の肝炎は子供のみに広がっているが、アデノウイルスが子供を媒介にして大人に感染してしまうことも考えられる。幅広い世代で感染対策を取る必要がある。「アデノウイルスは、主に接触感染と飛沫感染によって広がっていきます。こまめに手を洗い、マスクをつけるなど、これまでどおりの基本的な感染対策を丁寧に行うことが重要です」 また、重症化させないためには早期発見がカギとなる。「便の色に異常がないか子供に報告させたり、食欲不振や倦怠感、嘔吐などの体調不良があれば、早めに病院に連れていきましょう。白目が黄色っぽく変色していないか、よく見ておくのも有効です」(前出・田尻さん) マスクの屋外不要論も出てきているが、新たな脅威が迫りつつあるいま、油断はできない。身近にいる子供のためにも、細心の注意を払いたい。※女性セブン2022年6月2日号
2022.05.20 11:00
女性セブン

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