スポーツ

プロ野球セ・リーグ6球団「最弱の時代」を振り返る

 どんな組織でも「最弱の時代」はあるもの。それはプロ野球も同様だ。ここでは、セ・リーグ6球団の過去の「最弱時代」を振り返ってみよう。

●読売ジャイアンツ
「球界の盟主」を自認する常勝球団は、1950年2リーグ分立後の61シーズンでBクラス転落がわずか7度しかない。唯一のリーグ最下位を記録した1975年が「最弱の時代」といえよう。この年は現役引退した長嶋茂雄が38歳で監督就任した初年度。長嶋の代役が期待されたメジャーリーガー、D・ジョンソンが打率1割台の大不振。王貞治は足の故障に苦しんだ。若手投手陣の中心、新浦壽夫は先発・救援でフル回転したが2勝11敗。V9戦士が居並ぶなか、レギュラー組で最高の打率を残したのは.293の淡口憲治だった。ちなみに、75年は2リーグ分立後、巨人が初めて2年続けて優勝を逃した初めての年でもあった。

●中日ドラゴンズ
 最下位総数5回、Bクラス総数17回はいずれも巨人に次ぐ少なさ。監督交代は多いが、成績は非常に安定している。唯一3年連続のBクラスを経験した1968~1970年が最初の低迷期。当時の中軸には高木守道。1978~1981年の4シーズンで3度のBクラスもこのチームにしては珍しかったが、プロ2年目の中尾孝義がリーグMVPの活躍をした1982年の優勝から一気に5位へ転落した1983年以降の4シーズンでも3度のBクラスに沈んだ。

 精神的支柱だった星野仙一の現役引退(82年)、81年からリリーフエースとなった牛島和彦の酷使がたたったことも一因。1969年に入団し、83年に本塁打王に輝いた大島康徳は中日の低迷期すべてにからんだ選手である。

●阪神タイガース
 1977~1984年が初めてといえる低迷期。それだけにR・バース、掛布雅之、岡田彰布のクリーンアップで勝ちとった1985年の日本一は関西人を熱狂させた。しかしわずか2年後の1987年には41勝しかできずにリーグ最下位。そこから16シーズンで15回のBクラス、長い最弱の時代を作りだしてしまう。

 掛布が1986年の死球をきっかけに衰え1988年に引退、バースは息子の病気をめぐって球団と対立しこちらも1988年に退団。後を継いだのは桧山進次郎、新庄剛志、亀山努らだったが、やや小粒だった。助っ人外国人にはキーオ、フィルダーらがいた。フィルダーがメジャーに戻ってバース級の活躍(2年連続本塁打&打点王)をしたのは皮肉だった。

●広島東洋カープ
 1950年からの18年連続Bクラスはセ・リーグ最長記録。その後1980年代に黄金期を迎え、1998年から13年連続Bクラスという暗黒期に入る。川口和久、江藤智、金本知憲ら主力がFAで抜けた穴をカバーできなかった。攻守の要は、野村謙二郎、前田智徳、新井貴浩、黒田博樹ら。野村と前田はケガが多く、新井と黒田は後にFAで移籍した。

●東京ヤクルトスワローズ
 チーム創設から24年で6度の最下位を含む23回のBクラスをあえて“生みの苦しみ”とすると、1981~1990年、4度の最下位を含む10年連続のBクラスが最弱か。尾花高夫は同時期に10勝以上を6回記録、若松勉も打率3割以上が6回。荒木大輔、長嶋一茂なども在籍し人気は高かったが、勝負弱かった。

●横浜ベイスターズ
 最下位総数20回は両リーグ通じて最多。2002~2010年まで9シーズンで8回のBクラス。近3年連続最下位。すべて90敗以上。現在の低迷ぶりも深刻である。2007~2008年連続本塁打王でWBC日本代表入りした村田修一などタレントは輩出しているが、斎藤隆はメジャーへ、内川聖一もFA移籍で慢性的なコマ不足が解消されていない。

※週刊ポスト2011年6月17日号

関連記事

トピックス

STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
宗田理先生
《『ぼくらの七日間戦争』宗田理さん95歳死去》10日前、最期のインタビューで語っていたこと「戦争反対」の信念
NEWSポストセブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
大谷翔平に“口裏合わせ”懇願で水原一平容疑者への同情論は消滅 それでもくすぶるネットの「大谷批判」の根拠
NEWSポストセブン
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
(写真/時事通信フォト)
大谷翔平はプライベートな通信記録まで捜査当局に調べられたか 水原一平容疑者の“あまりにも罪深い”裏切り行為
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
羽生結弦の勝利の女神が休業
羽生結弦、衣装を手掛けるデザイナーが突然の休業 悪質なファンの心ない言動や無許可の二次創作が原因か
女性セブン
眞子さんと小室氏の今後は(写真は3月、22時を回る頃の2人)
小室圭さん・眞子さん夫妻、新居は“1LDK・40平米”の慎ましさ かつて暮らした秋篠宮邸との激しいギャップ「周囲に相談して決めたとは思えない」の声
女性セブン
いなば食品の社長(時事通信フォト)
いなば食品の入社辞退者が明かした「お詫びの品」はツナ缶 会社は「ボロ家ハラスメント」報道に反論 “給料3万減った”は「事実誤認」 
NEWSポストセブン