宇多田さんの実父・宇多田照實さんがブログに書いたように、藤さんは宇多田さんが5才の頃から心の病が表れだしたそうです。気持ちの浮き沈みは激しく、その結果照實さんと結婚、離婚を繰り返したり、突然わめきだしたり…。家族で藤さんを支え続ける中で、宇多田さんが瞬く間にスターになりました。このことが藤さんをますます苦しめることになったんです」
宇多田が幼い頃は、「娘は天才なのよ」と周囲に自慢していたが、デビューして、どんどん成功していく娘を遠い存在と思うようになった藤さん。そんな母に対して宇多田は、大ブレークするなかで、ともに過ごす時間が減り、気持ちのすれ違いを埋めていくことができなくなっていく。彼女は1度だけ母に感情をぶつけたことがあったという。
「“出て行って”的なことを口走ってしまったことがあるそうで、それからというもの藤さんは“娘に嫌われているから”とよく口にするようになったと。宇多田さんはそんなことを言ってしまった自分を責め、すごく後悔したそうです。
その後、何度も何度も宇多田さんは藤さんと向き合おうとしたんですが、藤さんがなかなか応じなかったといいます。ですから宇多田さんにとって、藤さんの死はただただ悲しいだけではなく、幸せな記憶があるだけに、無念さなど複雑な思いが絡んでいるんでしょうね。
その藤さんへの思いがあの歌詞に出ているんだと思います。歌詞に《言いたいこと 言いたいこと きっと山ほどあるけど 神様しか知らないまま 今日は贈ろう 涙色の花束を君に》なんて、まさにそう思えてなりません」(宇多田の知人)
※女性セブン2016年5月26日号