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天皇陛下の生前退位 転機となった手術と重視された三者会談

数年以内の生前退位の実現を望まれているとも

 天皇陛下が「生前退位」の意向を示されているとNHKが報じ、列島に激震が走った。陛下は数年内に皇太子さまへの譲位を望まれており、美智子さまや皇太子さま、秋篠宮さまはすでに陛下のお気持ちを受け入れられているという内容だった。

「宮内庁は即座に“陛下がそのような意向を伝えたという事実は一切ない”とコメントを発表し、強い調子で報道を否定しました。その後も、陛下の意向はなかったと報じるメディアがあるなど、情報が錯綜しました」(皇室記者)

 本誌・女性セブンの取材で陛下がご意向を固められるまでの、1700日にわたる深い苦悩と熟慮が浮かび上がってきた──。

 はじまりは2011年、東日本を未曾有の大震災が襲った年だった。陛下は被災者の慰問のため、3月30日、福島からの避難者が身を寄せた東京武道館(足立区)を皮切りに、5月中旬まで7週連続で1都6県を回られた。地震や放射能の専門家から50回以上説明を受けるとともに、皇居のブレーカーを落としたり、30℃を超える猛暑の中でもエアコンを極力使用しないなど節電にも努められた。もちろん、平時でさえ多忙を極める通常の公務の合間を縫ってのことである。

 心身ともにお疲れが出たのか、同年11月6日から、陛下は発熱のため入院を余儀なくされた。告げられた診断はマイコプラズマによる肺炎。容体はなかなか回復せず、11月中の公務はすべてキャンセルされた。その中にブータン国王夫妻の歓迎行事(11月16日)があった。

「陛下が国賓の歓迎行事に出席できなかったのは、即位以来、その時が初めてでした。天皇であることは、公務をまっとうすることと同義と常々お考えになっていた陛下は、公務に対する責任感が非常に強く、徹底的に体調管理をされてきた。そんな中での欠席は、極めて残念で衝撃的な出来事だったのと同時に、“公務がすべて”という大原則が、その日崩れてしまったのです」(宮内庁関係者)

 当時、陛下は77才。その頃から、陛下は皇太子さま、秋篠宮さまと意見交換などをされる三者会談を始められたという。

「ブータン国王夫妻の式典には皇太子さまが代理として出席されました。陛下が満足に公務をできないことが今後も起こるかもしれず、その時は次世代に任せるほかありません。摂政を置くことや譲位を含め、皇室の将来を話し合う場として、宮内庁長官を立会人とする三者会談を不定期で行うことにしたのです」(皇室ジャーナリスト)

 さらにターニングポイントになったのは、翌2012年2月、心臓の冠動脈に狭窄が見つかり、バイパス手術に踏み切った時だった。

「2003年1月の前立腺がんの摘出手術以来、9年ぶりの手術でした。3週間の入院を経て退院。それからわずか7日後、難しいと思われていたのですが、東日本大震災の追悼式典に出席されました。手術を経たことでも心境にまた変化が見られるようになりました」(前出・宮内庁関係者)

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