ライフ

時代劇研究家・春日太一氏が選ぶ「心震える大河ドラマ」TOP5

渡辺謙が主役を演じた『独眼竜政宗』

 現在放送中の大河ドラマ『真田丸』は好評を博しているが、歴代最高の大河ドラマはどの作品なのか? 時代劇研究家・春日太一氏とともに50年超の放送史を振り返り、名作を完全ランキング化した。春日氏が選んだベスト10の中から、1位~5位の作品を春日氏の寸評(「」内)とともに紹介しよう。

【1位『独眼竜政宗』(1987年)】
主演/渡辺謙(伊達政宗)、原作/山岡荘八、脚本/ジェームス三木

 父・弟を殺し母を追放した悲しき武将・政宗が奥州を制覇し秀吉・家康ら天下人と渡り合う姿を描いた。幼少時代の「梵天丸もかくありたい」というセリフがブームに。

「若くして戦国時代の東北地方随一の勢力を築いた伊達政宗を若き日の渡辺謙が演じた。英雄的なカリスマ性と躍動感を見せる序盤も素晴らしいが、やがて天下の趨勢が決まる中で忍従する中年時代や徳川政権下で老獪な腹芸を見せる晩年まで、まだ二十代だった渡辺がその生涯を見事に演じ切っている。

 また、壮絶な愛憎のドラマを見せる母親役の岩下志麻、器量人として育てる父親役の北大路欣也、支え続ける家臣役の西郷輝彦と三浦友和、荒武者役で初の本格的な役者出演となるいかりや長介、終生のライバル・最上義光役の原田芳雄、そして天下人としてその前に立ちはだかる秀吉役の勝新太郎……多彩なキャスティングが完璧に決まった」

【2位『武田信玄』(1988年)】
主演/中井貴一(武田信玄)、原作/新田次郎、脚本/田向正健

 中井の抜擢がそれまでの信玄像を覆した。武田二十四将の個性も光る。若尾文子の「今宵はここまでに致しとうござります」は流行語大賞に。

「山本直純による勇壮なテーマ曲に合わせて躍動する戦国最強の武田騎馬軍の活躍に胸が震える。本作の大きな特徴はコミカルな要素は一切ないことだ。

 登場人物たちの闇へと焦点を絞り込み、映し出していく。狂気に奔る父親・信虎役の平幹二朗や女の色香に惑わされて謀反に向かう家老を演じた児玉清が印象深いが、圧巻は信玄を演じた中井貴一。

 国を平穏に治めるためにかつての自分によく似た我が子を死に追い込み、家臣たちからカリスマ的な支持を得るもののそのために誰にも心の内を明かせなくなる。そして晩年は若き信長に老いらくの嫉妬心を燃えたぎらせていく――そんな権力者の孤独と葛藤を巧みに表現していた」

関連記事

トピックス

元皇族の眞子さんが極秘出産していたことが報じられた
《極秘出産の眞子さんと“義母”》小室圭さんの母親・佳代さんには“直接おめでたの連絡” 干渉しない嫁姑関係に関係者は「一番楽なタイプの姑と言えるかも」
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
川崎春花
女子ゴルフ“トリプルボギー不倫”で協会が男性キャディにだけ「厳罰」 別の男女トラブル発覚時に“前例”となることが避けられる内容の処分に
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン
第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
俳優・北村総一朗さん
《今年90歳の『踊る大捜査線』湾岸署署長》俳優・北村総一朗が語った22歳年下夫人への感謝「人生最大の不幸が戦争体験なら、人生最大の幸せは妻と出会ったこと」
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン