「ある日けんかをしていた時、克弥くんから、『ぼくはきみの笑顔が好き。ぼくはもう長く生きられないから、ずっと笑っていてくれないか』と言われたんです。その時に、ああ、そうなんだ、人生を逆算したらけんかしている時間なんてないじゃないかと。
(漫画に登場した)あのおばあちゃんも、自分の人生があとちょっとなんだと感じた時に、夫よりも自分だけの時間とか、食べたいものを優先した。夕飯は作りたくなくて、パフェと団子が食べたかったからそうしたんです。
私たちはいろいろな価値観に縛られて生きています。たとえば起き抜けにカツ丼食いてえな、仏壇にあるおまんじゅう、食べちゃいたいなって思っても、『太るし』とか『周りに何と言われるか』と思ってなかなかできないんだけど、そろそろ『もういいよ』と自分に言ってあげる時期が来てもいいのかなって。これまでダイエットに追われてきたけど、克弥くんに『ウエストはもう気にしなくていいんだよ』と言われて、その時の解放感たるやもう…(笑い)」(西原さん)
漫画の75才女性や、高須院長や西原さんが特別な考え方というわけではない。実際多くの70代は、“第二の青春”を謳歌している。西原さんが力強く証言する。
「『コメダ珈琲』のモーニングはシニアの出会いの場になっています。おじいちゃんたちがガンガン口説いている。ある有名旅行会社のツアーでも蓋を開けてみたら全員シニアの不倫カップルだったという話も聞きましたし。
子供を産む前の恋と違い、ちょっと肌に触れて、寂しい時に会話をしてと、純粋に恋を楽しんでいる人が多い。そしてみなさんすごく健康なんですよ。私も70代でも恋とお酒と食事を楽しんでいたいんですが、そのためにはまず、健康と経済力が必要だと思いました(笑い)。だから今も、恋と健康のために仕事をしてます。だって、克弥くんに『ローンが足りないから』とか言ったら、向こうは冷めちゃうでしょうし、私も卑屈になっちゃうでしょ?(笑い)」
※女性セブン2016年9月8日号