芸能

べっぴんさん 盛り上がらぬ訳は無口なヒロインとキャラ不足

視聴率20%を割ることも多い『べっぴんさん』(公式HPより)

 NHKの連続テレビ小説『べっぴんさん』がいまいち盛り上がっていない。視聴率20%を割ることも多く、前作『とと姉ちゃん』、前々作『あさが来た』と比べて、物足りなさを覚える視聴者も多いのではないだろうか。ドラマの内容に「元気がない」と斬るのはコラムニストのペリー荻野さんだ。ドラムを盛り上げるための策とは? ペリーさんが分析する。

 * * *
『べっぴんさん』が元気がない。そりゃそうだ。今描かれているのは、終戦直後。ヒロインすみれ(芳根京子)がお嬢様として暮らした立派な神戸の家屋敷は焼失、土地も接収されてしまった。

 頼りの夫・紀夫(永山絢斗)は消息不明のままで、伯父(本田博太郎)の家に身を寄せれば、邪魔者扱い。神戸に戻り、なんとか自活の道をと得意の手芸でコツコツ作った品物も「ぜいたく品」とまったく売れない。なんとかアメリカ流のおしめを作ろうと試みるが…。
 
 これで元気を出せと言う方が無理という気もするが、全体を見てみて、この元気のなさの原因は、ヒロインの環境の問題だけではないようにも思える。
 
 そもそもヒロインがとってもおとなしいのである。少女時代の唯一の冒険が自分の靴を仕立ててくれる職人の店に行って、家に帰れなくなったこと。結婚した時も、ウエディングドレスを着て大はしゃぎするわけでもなく、物静かな花嫁さんだった。しかも、その相手の紀夫がものすごく無口ときている。ふたりはいつもちょっとにっこりして、しーん。
 
 夫が出征してからは、刺繍を入れた手作りの写真入れに入れた夫の写真を見つめる日々。涙ぐんで、しーん。微笑んで、しーん。
 
こんな風に感じてしまうのは、我々朝ドラ視聴者が、ここ数年、よくしゃべるタフなヒロインを見続けていたせいかもしれない。『ごちそうさん』のめ衣子(杏)、『花子とアン』の花子(吉高由里子)、『マッサン』のエリー(シャーロット・ケイト・フォックス)、『あさが来た』のあさ(波瑠)…彼女らは、思ったことをどんどん口に出し、実行に移す。全力疾走するような生き方が痛快でもあった。

『べっぴんさん』の場合、出ていけと無慈悲なことを言いだす伯父に抗議したり、「出ていきます!!」と宣言したのは、すみれではなく、姉ゆり(蓮佛美沙子)だった。め衣子が、川にどぼんと落ち、花子が女学校で酔っぱらい、エリーはがコットランドから駆け落ち、あさが新選組相手に啖呵を切ったりしたことを思えば、すみれにも「すごい発言、すごい動きをした名場面」がやっぱり欲しい。 

あわせて読みたい

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト