スポーツ

野村克也氏「プロ野球レベル低下はキャッチャー不在が原因」

「生涯一捕手」を標榜した野球評論家の野村克也氏

「生涯一捕手」を標榜した野球評論家の野村克也氏(81)は、今のプロ野球界に大きな危機感を持っているという。新刊『野村の遺言』も話題の野村氏が展開する「捕手論」は、傾聴に値する。

 * * *
 プロ野球のレベルは低下している。そしてその大きな原因は「キャッチャーの不在」にある。

 最近は力一杯投げて力一杯打つことが「力と力の勝負」であると、選手も監督も、ファンも信じて疑っていないように感じる。そこにあるのは単なる打ち損じ、投げ損じの結果だ。こんなただ投げて打って走ってというものは野球ではない。

 野球には「間」がある。一球投げて休憩、一球投げて休憩……この「間」は何のためにあるのか。「考え、そなえるためにある」のだ。

 野球は「頭のスポーツ」なのである。選手の能力だけでは勝敗は決しない。一球ごとに生じる「間」を使い、刻々と変化する状況を見極めて最善の作戦を考える。結果、弱者が強者を倒す意外性が生まれるから面白いのだ。そこに野球というスポーツの醍醐味がある。

 その中心を担うのが、監督の分身であるキャッチャーなのである。

 私は「キャッチャーは脚本家」であると思っている。キャッチャーがサインを出し、それに従ってピッチャーが球を投げ選手が動く。試合という「舞台」は、キャッチャーの書いた「脚本」で決まるからだ。

 映画界にはこんな名言があるという。

「いい脚本からダメな映画が生まれることはあっても、ダメな脚本からいい映画が生まれることは絶対にない」

 野球も同じだ。キャッチャーが良い脚本を書けなければ、名勝負という良い“作品”は生まれない。たとえ大谷翔平という“名優”がいても、活かすことはできない。プロ野球のレベルが下がっているのも無理はないというわけだ。

関連記事

トピックス

伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
総理といえど有力な対立候補が立てば大きく票を減らしそうな状況(時事通信フォト)
【闇パーティー疑惑に説明ゼロ】岸田文雄・首相、選挙地盤は強固でも“有力対立候補が立てば大きく票を減らしそう”な状況
週刊ポスト
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン