つまり、『A LIFE』の最大の失点ポイントは、キムタクではなく「キムタクという中心軸を取り囲む配役」にこそあるのでは?
対象的なのが『HERO』。言わずと知れたキムタク主演の大ヒットドラマと比較してみると。
『HERO』の第1期は、キムタク演じる久利生検察官の周りに、松たか子、阿部寛、大塚寧々、勝村政信……第2期は北川景子、杉本哲太、吉田羊、松重豊……そして両方に八嶋智人、小日向文世らが配置されていました。
見事なオーケストレーション。とりあわせの妙。かけあいセリフ芝居が上手な役者をピックアップし、キャラが被らないようバラエティを意識して配置。一人ひとりが役割にすぽっとはまって、互いに補完しあっていた。これぞ、キムタク中心軸ドラマのあるべき姿では。
ドラマは主役で決まるだけではありません。時に配役が決定してしまうケースがある。特に、キムタクのように動かし難い主役がいる場合は──『A LIFE』が雄弁に物語っていることかもしれません。