◆もう命を削るのはちょっと

 3月22日にアメリカに敗れた侍ジャパンは翌23日に帰国。この日、小久保は成田空港から都内ホテルに移動し記者会見を開いた。3日後の26日には『HERO’S』(フジテレビ系)への生出演も決定していたため、しばらくは東京に滞在すると思われたが、翌24日、小久保はAさんが待つ福岡へと戻った。そして翌25日、Aさんを連れ立って居酒屋を訪れたのが冒頭のシーンである。

 世間からバッシングを浴び続けた自分を支えてくれたAさんに一刻も早く感謝の思いを伝えたかったのかもしれない。

 前述した帰国後の記者会見で、小久保は今大会をもって契約満了で監督を退任する意向を表明。生出演した『HERO’S』でも「20年の東京五輪まで侍ジャパンの監督を続けてほしい」といったファンの声が届けられたが、小久保は吹っ切れた表情でこう語った。

「もう、命を削るのはちょっと。今回は本当にいい経験をさせてもらった。これがひとつの区切りです」

 WBCの大健闘で高まる「続投」の声を自ら断ち切ったのだった。

「今度は侍ジャパンのためでなく、支えてくれたAさんのために時間を使いたいという思いなのでしょう」(前出・小久保の知人)

 小久保にとって、Aさんはどんな存在なのか。所属事務所に話を聞いた。

「プライベートは本人に任せているので、お答えできない」(担当者)

「五輪監督の名誉」よりも小久保が望んだ、Aさんとの穏やかな日々。それは逆風を浴び続けた約3年間を常に支えてくれたことに対する感謝なのかもしれない。

※週刊ポスト2017年4月14日号

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