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「悲運の女王」浅田真央 五輪に翻弄され続けた日々

◆亡き母が願った金メダル以上のもの

 どうしても金メダルがとりたかった──その理由こそ、匡子さんだった。もともと体が弱く、入退院を繰り返していた匡子さんの闘病生活は20年を数えていた。当時、彼女の体は、手の施しようがないほどの病魔に蝕まれていたのだ。

 ひたすら努力を重ね、手が届いたと思っても、するりと手のひらからこぼれていく金メダル。怒り、苦しみ、悔しさ、悲しさ…どんなに言葉を尽くしても、彼女の思いを表現することはできないだろう。彼女を見守ってきたからこそ、日本中もそんな思いに包まれていた。しかし、匡子さんだけは違った。頑なになっていく娘をただ、ただ心配していた。生前、こんな言葉を残している。

「真央には金メダルをとってほしいけど、それより、みんなに愛されるスケーターになってほしいのよ」

 その後も浅田は運命に翻弄され続ける。母の墓前に金メダルを誓った2014年の『ソチ五輪』では、SPですべてのジャンプに失敗したのだった。日本中が落胆し、もうダメだと思った。

 しかし浅田は不屈の精神でFSに臨んだ。最初のトリプルアクセルに成功すると、残るジャンプもすべて着氷し、計8回の3回転、エイトトリプルを見事に決めた。そしてメダルには届かなかったものの6位入賞。全世界の人の心を震わせた。

「真央──きみは素晴らしかった。トリプルアクセルは特に素晴らしかった! きみは真のファイターだ」(エフゲニー・プルシェンコ、ロシア)
「涙が出たわ…浅田真央のパフォーマンスをすべて、永遠に忘れません」(ミッシェル・クワン、アメリカ)

 各国のメダリストが次々に声を上げた。当時反日感情が高まっていた中国でも、浅田真央に関するツイートが17万件近くあったことがニュースになった。

※女性セブン2017年4月27日号

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