「軍隊ですので、上官の命令には絶対服従です。宿舎で生活し、厳しい軍事訓練に加え、夜間警備などの軍務を毎日こなします。携帯電話の持ち込みは厳禁です。宿舎には公衆電話がありますが、上官の使用が優先されるため気軽には使えません。土日は休みで、家族が会いに行くこともできますが、北朝鮮との軍事境界線付近など緊張感の漂う地域の師団に配属された場合は、それも容易ではなくなります」
恋人が兵役中の女性は、頻繁に手紙やメール(軍がプリントしてくれる)を送り、長期の休暇が取れた際はとりわけ密に過ごすもの。
だが、20代の多感な時期に2年間の遠距離生活はつらい。兵役経験のある韓国人青年(34才)が語る。
「兵役中に別れてしまうカップルが非常に多いんです。特に兵役生活の中期である一等兵末期から上等兵初期に別れることが多く、この時期は『一末上初(イルマルサンチョ)』と呼ばれ、恋愛の鬼門とされています。えぇ、ぼくもそうでした。入隊前に結婚を約束しあった彼女だったのに、除隊後は別の男ができていて…。泣きましたね」
過去には『冬のソナタ』のチェ・ジウ(41才)と人気俳優イ・ジヌク(35才)の交際も、彼の兵役中に破局を迎えている。
だがユチョンは別れるどころか、兵役中に女性と出会い、そのままゴールインするというのだ。ここに、彼の兵役生活の特殊性が垣間見える。
韓国の兵役対象者は事前の徴兵検査で、健康状態や病歴をもとに1~7級までに分けられる。1~3級は現役兵として前述の通り過酷な部隊生活を送り、5~7級は兵役免除や再検査などの扱いを受ける。問題は4級である。
「4級と判定されるのは、持病などで現役兵としての軍務が難しい人間です。彼らは社会服務要員といって、軍の部隊ではなく、役所や福祉施設などの公的機関に勤めることになります。ユチョンは持病の喘息から4級と判定され、江南区役所に配属されたのです」(前出・康氏)
社会服務要員の生活は、現役兵とは一線を画す。