普通なら途中休場してもおかしくないところを、ガチンコ相撲で綱を張る大乃国は土俵に上がり続けた。そうなると平幕力士たちは「金星目当て」でさらにやる気が掻き立てられる。
「金星1個につき年収24万円アップするのが力士の持ち給金システム。やる気にならない方がおかしい」(前出の担当記者)
そうした状況のなかで、ガチンコ下位力士が台頭してくる。
1990年9月場所で大乃国、千代の富士、北勝海、旭富士の4横綱時代に突入したが、千代の富士が1991年5月場所で貴乃花(当時、貴花田)に敗れて引退。その後も下剋上場所が続き、翌7月で大乃国が、翌1992年5月で北勝海、同9月で旭富士が次々に引退。若貴ブームの時代に突入する。
稀勢の里に白鵬、日馬富士、鶴竜のモンゴル3横綱を加えた4横綱時代も、長くは続かないと見る向きが多い。
「横綱が4人いれば1場所に金星のチャンスが4回もある。金星4個なら持ち給金が上がって年収は100万円近く増える。それだけ協会の出費はかさむので、金星配給が増えた横綱には引退勧告を出すケースもある」(同前)
稀勢の里は4日目、ガチンコ平幕・遠藤を相手に初の金星を献上した。早くも正念場に直面しているのだ。
※週刊ポスト2017年6月2日号