「2、3年前は北朝鮮のハチミツやキノコ、ニンジンなどの野菜が売られていたが、いまは商品が入ってこなくなり、丹東の交易市場も閑古鳥が鳴いている。もう商売替えをする人が多くなって、皆どこに行ったか分からないよ」
丹東市近郊にある中朝共同建設の黄金坪経済特区は農地や荒れ地として放置されたままで、入居企業はゼロ。
2010年に北朝鮮の金正日総書記が訪中した際、胡錦濤国家主席とのトップ会談で、経済特区の設置で合意した。翌年6月には当時の張成沢朝鮮労働党中央委員会行政部長が参加して盛大な着工式が行われたが、いまは約15平方キロメートルもの敷地に人影はなく、現在の中朝関係の冷え込みをはっきりと映し出している。
◆中国にとっての「仮想敵」
とりわけ、習近平主席が今年4月に訪米し、トランプ米大統領との首脳会談で対北制裁の強化で一致して以来、両国間の非難の応酬はすさまじいばかりだ。
すでに今年5月号の本欄で両者の非難合戦を伝えたばかりだが、北朝鮮はついに越えてはいけない一線を越え、初めて中国を名指しで批判した。5月3日の国営朝鮮中央通信、4日の党機関紙「労働新聞」に相次いで掲載した論評で「中国」という単語を24回も使い、罵ったのだ。