渡航を止める友人もいたが、奥氏は最後まで聞く耳を持たなかった。現在、奥氏は拘束を解かれたが、出国禁止措置が取られた。2014年8月、朴槿恵前大統領に関する記事が「名誉毀損」と判断され、約8か月にわたる出国禁止処分が下った産経新聞元ソウル支局長の加藤達也氏と同じ状態にある。
逮捕翌日、奥氏から記者に電話がかかってきた。声は相変わらず明るい。
「“吉田氏が寄贈した石碑は長男に相続されている。その長男の依頼で変えたのだから器物損壊にはあたらない”と主張したら、“国立墓地内にある石碑の管理権は韓国政府にあり、管理権の侵害にあたる”と説明してきた。
私の言い分が認められる様子はないが、韓国警察の取り調べは録画されていて、可視化は日本より進んでいる。警察の対応も紳士的で感心した」
奥氏の予測不能な行動は、期せずして不安定な日韓関係をさらにこじらせてしまうかもしれない。神戸大学大学院教授の木村幹氏はこう語る。