すでに11月の九州場所に向けた戦いは始まっている。大波乱の秋場所が終わり、“休んでいた主役たち”もそれぞれの思惑を持って動き出した──。
ある若手親方は秋場所後、「今回の結果を4人の横綱たちが見て、どう考えたか。興味深いですね」と呟いた。3横綱2大関が不在だった秋場所は、終わってみれば1人横綱の日馬富士が大関・豪栄道を決定戦で下し、逆転優勝。千秋楽午後5時台の平均視聴率は17.8%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)で、15日連続満員御礼とファンは大盛り上がりだった。
「13日目を終えて優勝圏内に16人の力士がいる異例の事態。番付と成績が一致しない土俵が続き、見ている側は本当に面白かったでしょう」(中堅親方)
千秋楽では「これより三役」に前頭5枚目で幕内最年少の貴景勝(21)が登場する珍場面も生まれた。進境著しい若手たちは終盤戦にやや息切れしたものの、「14日目に勝てば優勝の可能性もあった新入幕で幕尻の朝乃山(23)や、貴景勝と同い年の阿武咲(前頭3)ら若手ガチンコ勢が暴れ回り、揃って三賞を受賞。この秋場所の成績は、番付順ではなく“実力順”になった」(担当記者)といわれているのだ。
◆“ターゲット”は20代前半
興味深いのは、冒頭の親方が語った通り、若手ガチンコ勢の台頭を休場した横綱たちがどう見るかだ。故障を抱える上位陣は、11月に本場所の土俵に戻ってくるのか。協会関係者はこうみる。