生番組に強い芸人でもある。なにせ相方は、視聴者がドキッとするようなスレスレのボケが真骨頂の芸人。稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が出演中のAbemaTV『72時間ホンネテレビ』の中でも、久々の共演が嬉しくて仕方がないのか、さまざまな人物名を出して暴走する太田に、「やめろよ!」「いい加減にしろ!」「しつけーよ」などと、おなじみのツッコミを連発する田中だったが、よくよく聞いてみると、その直後に太田のボケを繰り返し、その意味を解説してみたり、固有名詞に“さんづけ”をしたりと、フォロー役に徹しているのである。
さらに、カンニング竹山、メイプル超合金、バービー、橋下徹氏らとパターゴルフに挑戦するコーナーでは、ゴルフの知識がそうはないであろう女性視聴者にもわかるように細かい説明をしたり、いわゆる“裏まわし”に励む田中。ちなみに田中は、大の野球ファンでもあり、プロスポーツにも精通しているのである。
プライベートでは、“再婚同志”の山口もえと結婚し3児のパパとなり、そのイクメンぶりも女性視聴者から高い評価を得ている田中。筆者は放送作家として爆笑問題とは古くから仕事をしているが、昔から、山口もえを始めとした共演女性からの相談に真摯にのる田中の姿をよく見てきた。彼女イナイ歴は長いが、女性との接し方はわかっていて、気が利くし、優しくて、女性タレントからの人気は元々とても高い男だった。
そうした気配りや優しさ、生放送で自分がどう振る舞えば、番組がスムーズに、面白く展開していくかが、もっとも身についている芸人。それが爆笑問題の田中裕二なのである。
そして、太田光という猛獣が安心して暴れられるのも、静かにさせるツボを心得ている田中が居るからこそだ。それをわかっていらしたのか、まだ、その魅力が世間に知られていない頃から、「田中を絶対に手放しちゃいけない」と大田に何度も説いていたのは。多くの若手や中堅芸人を適切なアドバイスですくい上げたことでも有名で、太田が尊敬してやまない立川談志さんだった。
5日、『サンデージャポン』で明かされるであろう吉田明世アナの“その後”も含め、好感度急上昇の田中裕二の“アナウンス力”を堪能したいものである。