ホワイトハウスのトップ補佐官たちは現状維持が国益に合致すると見ているが、トランプ大統領やその周辺は、日本と韓国に核武装させ、軍事力を強化させるべきだと考えているようだ。中国包囲の安全保障のコストを同盟国に負担させれば、在韓米軍を引き上げて軍事費を削減できるからである。
韓国は1991年に米国の戦術核を撤去させたが、昨年10月には再配備を米国に要請していたことが今年9月に明らかになった。最近の世論調査では、68%が再配備に賛成し(韓国社会世論研究所)、60%が独自に核武装すべきだと回答している(韓国ギャラップ)。
日本も敵地攻撃能力はもちろん、核武装についても堂々と議論すべき局面を迎えている。議論すらタブー視されるのは異常である。シュミット首相は核配備の提案に際して反戦団体からの批判を恐れなかった。安倍首相には“日本のシュミット”たれと申し上げたい。
【PROFILE】田久保忠衛●1933年生まれ。早稲田大学卒業後、時事通信社に入社。ワシントン支局長などを歴任。杏林大学名誉教授。日本会議会長。国家基本問題研究所副理事長。『日本国憲法と吉田茂――「護憲」が招いた日本の危機』(自由社、共著)など著書多数。
※SAPIO2017年11・12月号