◆「3月までは動くな」

 自民党総裁選は405人の国会議員票と党員投票で行なわれる。

 官邸サイドの現在の票読みは、安倍首相支持を鮮明にしている細田派(94人)、麻生派(59人)、二階派(44人)の主流3派の基礎票だけで197票と議員票の半数に迫る。これに「将来の政権禅譲」を期待する岸田文雄・政調会長が不出馬を決めれば岸田派(46人)、さらに額賀派(55人)も雪崩を打って首相支持に回り、菅義偉・官房長官ら無派閥の安倍支持派議員を含めると300票以上の予測が立ち、圧勝は確実の形勢というものだった。

 だが、麻生氏が“離反”すると、その票読みは根底から崩れる。

「3月までは動くな」──麻生氏は今年初めに岸田氏と会談した際、総裁選への出馬を判断する時期についてそう助言したとされる。安倍首相の総裁3選は傍で見るほど盤石ではなく、国会の情勢次第で流れがどう変わるか分からないと考えていたのだ。

 その予言通り、3月に安倍政権は窮地に陥った。

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