芸能

『半分、青い。』 風変わりなタイトルに込められた生活哲学

放送開始間もなく議論沸騰(番組公式HPより)

 今回の朝ドラは冒険的で野心的な作品である、といえそうだ。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 今週いよいよスタートしたNHK連続テレビ小説『半分、青い。』。主人公が胎児のまま、この世にまだ存在しないうちから登場という斬新なスタート。

 楡野鈴愛役の永野芽郁と萩尾律役の佐藤健が、胎児の声のナレーションをする、という面白い趣向。それだけではありません。ナレーション担当が次々に替わっていくのもユニーク。ピンピンコロリと亡くなった祖母が、空の上からみんなを眺めつつ語る。

 というように、今回の朝ドラは異色のチャレンジが満載。早くも視聴者の関心を惹きつけています。

 時代考証でもカンカンガクガク、議論がわき起こっています。例えば1960年代に放送された「マグマ大使」の特撮ネタを80年代の小学生・鈴愛が知っているのは時代的にヘン、といった指摘。あるいは昭和の時代にビニール傘はおかしい、普及していなかったのでは、という声。つまり、実に細かい点まで視聴者の関心が及んでいる。言ってみればそれは「関心度の高さ」を示している。

 制作側の狙い通り、ということ。つっこみも含め話題になればなるほど、まだ見ていないという視聴者も「ちょっと見てみようか」と興味をそそられるのですから。

 ナレーションや時代の細かい作り込みも魅力的ですが、それ以上に注目すべきことがあります。この朝ドラの大きな可能性を指し示しているポイントがあります。

 それは『半分、青い。』というちょっと風変わりなタイトル。

 最初に耳にした時、みなさんは何を思い浮かべたでしょうか? 甘酸っぱい青春、まだ大人になりきっていないみずみずしさ、青臭さ、未成熟ゆえの葛藤……私はそんなことを連想しました。でも、表層的なこと以上にもっと深い何かが埋まっていそうなのです。

 脚本担当・北川悦吏子さんはNHKの番組Webサイトでこう答えています。

「私自身もこのドラマのヒロインのように左耳を失聴しました。ある雨の日に傘をさしていると、左側だけ雨の音がしないんですね。私的には、それがちょっとおもしろいなと感じていて、これはドラマになるんじゃないかと思っていました。タイトルの『半分、青い。』もそのとき一緒に思いついたんです」 

 半分の空は、雨音がしている。雨が降っている。しかし、半分は雨音がしなくて、青い。雨天か晴天か。面白いと思うか、悲観的になるか。この世は肯定的にも否定的にも映る。天国にも地獄にもなりうる。

 つまり一つの状況下(片耳が聞こえない)でも、それをどう捉えるかによってまったく違う印象が生まれてくる、ということ。『半分、青い。』という一見シンプルなタイトルにそうした深遠なる意味が含まれている、と。

関連記事

トピックス

第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン
花の井役を演じる小芝風花(NHKホームページより)
“清純派女優”小芝風花が大河『べらぼう』で“妖艶な遊女”役を好演 中国在住の実父に「異国まで届く評判」聞いた
NEWSポストセブン
2000年代からテレビや雑誌の辛口ファッションチェックで広く知られるようになったドン小西さん
《今夏の再婚を告白》デザイナー・ドン小西さんが選んだお相手は元妻「今年70になります」「やっぱり中身だなあ」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「王子と寝ろ」突然のバス事故で“余命4日”ののち命を絶った女性…告発していた“エプスタイン事件”【11歳を含む未成年者250名以上が被害に】
NEWSポストセブン
人気シンガーソングライターの優里(優里の公式HPより)
《音にクレームが》歌手・優里に“ご近所トラブル”「リフォーム後に騒音が…」本人が直撃に語った真相「音を気にかけてはいるんですけど」
NEWSポストセブン
ナンバープレートを折り曲げ集団走行する「旧車會」=[福岡県警提供](時事通信フォト)
《各地で増える”暴走”》駐車場を勝手に旧車會の集合場所とされた飲食店主「100台以上も…他のお客さんが入って来られん」と怒り
NEWSポストセブン
世界中を旅するロリィタモデルの夕霧わかなさん。身長は133センチ
「毎朝起きると服が血まみれに…」身長133センチのロリィタモデル・夕霧わかな(25)が明かした“アトピーの苦悩”、「両親は可哀想と写真を残していない」オシャレを諦めた過去
NEWSポストセブン
キャンパスライフをスタートされた悠仁さま
《5000字超えの意見書が…》悠仁さまが通う筑波大で警備強化、出入り口封鎖も 一般学生からは「厳しすぎて不便」との声
週刊ポスト
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
エライザちゃんと両親。Facebookには「どうか、みんな、ベイビーを強く抱きしめ、側から離れないでくれ。この悲しみは耐えられない」と綴っている(SNSより)
「この悲しみは耐えられない」生後7か月の赤ちゃんを愛犬・ピットブルが咬殺 議論を呼ぶ“スイッチが入ると相手が死ぬまで離さない”危険性【米国で悲劇、国内の規制は?】
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン