開演前はぼーっとしていることが多いという


「この先、テレビで得た知名度をどれだけ落語に還元していくかが大事。地方に行くと、落語が好きじゃなくても“テレビに出てる人だから”ってだけで来てくれる。そうやって落語のすそ野を広げるのが役割だと思っています」

 将来を見据える孤高の噺家を支えるのは18歳年下の妻と、5歳と1歳の娘たちだ。

「いやぁ、今さらですが、実は人生で一番大事なものが落語から子どもに変わっちゃいました(笑い)。いつ死んでもいいと思って生きてきたけど、娘たちが大人になるまでは死ねません。目下の悩みの種は、忙しい時期に生まれて相手ができなかった下の子が懐かなくて、“近所のオジサン”って目で見ることです(笑い)」

●たてかわ・しらく/1963年、東京生まれ。日本大学在学時に落語研究会OBの放送作家・高田文夫氏に才能を見出され、1985年立川談志に入門。1988年二つ目昇進、1995年真打昇進。映画と古典を融合させた「シネマ落語」を創作するなど落語家として精力的に活動する一方、書評や映画評を執筆、1998年には映画『異常暮色』を監督。現在『ひるおび!』(TBS系)のレギュラーコメンテーターを務める。6月7日から主宰する劇団「下町ダニーローズ」の公演『人形島同窓会』が下北沢・小劇場B1で始まる(6月17日まで)。

■撮影/江森康之 ■取材・文/大西展子

※週刊ポスト2018年6月1日号

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