Bは青色。すなわちサイバートラップであり、中国による軍事面も含めたハッキングだ。
Gは金色。中国による経済や市場を通じた支配だ。特にアメリカと欧州ではマーケットの利益をエサに大企業家たちに言うことを聞かせており、欧州はこの点で陥落寸前だ。さらに各国の政治家や官僚への買収もある。中国人観光客を引き揚げるといった脅しも可能だろう。
Yは黄色。中国本土や香港・マカオに来た各国の議員や大企業家に対しておこなわれるハニートラップだ。隠し撮りしたベッドの映像を用いて脅すのである。
次の5年、こうした中国の対外拡張に最もおびやかされるのは東アジアの諸国・諸地域である。香港や台湾は言わずもがな、日本も大きな圧力を受けていく。大きな混乱が広がるかもしれない。
なにより、日本はかわいそうな立場だ。中国は対外拡張の過程において、まずは国内の矛盾の解消が必要だが、そこでナショナリズムが持ち出される。中国人の8~9割は、釣魚島問題(=尖閣問題)や歴史問題を持ち出されると激しく憤る。日本の過去の侵略行為が大きな過ちであるのは事実なので、中国人の心情を利用するにはもってこいである。
日本は中国にとって最も挑発しやすく、スケープゴートにされやすい。だが中国が対外拡張の手段としてナショナリスティックな情緒を利用している問題について、日本の官僚や政治家が十分に意識しているとは思えない。日本はまだ心の準備ができていないのだろう。だが、戦後の日本を覆っていた「よき日々」はすでに終わっている。