国内

「司法取引」をめぐる警察の思惑、ヤクザの論理

六代目山口組・司忍組長

 他人の犯罪を捜査機関に明かす代わりに、自らの刑事処分が軽減される「日本版・司法取引」が6月1日にスタートした。これにより、警察と暴力団の“対決”は、新局面に入ろうとしている──。フリーライターの鈴木智彦氏がリポートする。

 * * *
〈司法取引
 六月から、司法取引が導入されます。対象となるのは、贈収賄や詐欺など刑法の経済犯罪、組織的詐欺など組織犯罪処罰法の犯罪、薬物・銃器犯罪……〉

 新聞の解説記事の抜粋ではない。新制度導入を前に配布された、六代目山口組内のものとされる5枚のペーパーからの引用だ。

「日本版・司法取引」は、他人の犯罪を告白することで自分の罪が軽くなる「捜査・公判協力型」だ。取引の協議には、容疑者及びその弁護士も同席し、検察側の捜査協力要請と見返りに合意すれば、取引が成立する。適用対象は企業の談合、贈収賄、脱税などと幅広いが、とりわけ暴力団による組織犯罪が“ターゲット”になるとみられている。

 司法取引が導入された目的について、ジャーナリストの伊藤博敏氏は「もともとは“取り調べ可視化”などの制約を課された検察が、贈収賄事件を摘発するための“新しい武器”を欲したのがきっかけ」と指摘したうえで、その大きな狙いの一つに「暴力団の資金源潰し」があるともみている。

「組織犯罪全体が対象になっているので、オレオレ詐欺だろうと覚醒剤事犯だろうと適用できる。司法取引による逮捕第1号は早くに出ると思います」(同前)

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン