ライフ

【著者に訊け】山崎ナオコーラ氏 『偽姉妹』の着想は?

『偽姉妹』著者の山崎ナオコーラ氏

【著者に訊け】山崎ナオコーラ氏/『偽姉妹』/中央公論新社/1700円+税

 思えば2004年のデビュー作『人のセックスを笑うな』に、こんな一節があった。〈木の枝と枝の、間の空。あれは存在しているのだろうか〉〈巨大な空と、枝に囲まれた小さな空は、別物だ〉〈囲んだ途端に、風景は切り取られる〉──。

 一方この女性たちはどうか。シングルマザー〈正子〉、元職場の先輩〈百夜〉、ウクレレ教室で出会った7歳下の友人〈あぐり〉に当然血縁はない。それでも3人は正子が建てた〈屋根だけの家〉に住み、正子の息子〈由紀夫〉を一緒に育てている家族であり、『偽姉妹』なのだ。

 そもそも偽姉妹を名乗る前から3人の関係は存在し、その名前を超越した可能性まで、山崎ナオコーラ氏は本書で標榜してみせる。帯に〈家の中から“明日”を変える長篇小説〉とあるが、小説とはかくも革新的で、社会的なものだった!

 着想はなんと、叶姉妹と阿佐ヶ谷姉妹だったという。

「元々は他人同士の女性たちが、姉妹ユニットを組み、社会的に活動していることが、私には血縁を超えた新しい家族の作り方を体現しているように思えたんです。しかも世間には、美人は美人同士、ブスはブス同士でくっつけみたいな圧力があって、美人とブスが友達だと損得目当てとしか見てくれない(笑い)。でもブスと美人でも普通に親友になれるし、そもそもブスという言葉も私はもっとフラットに使いたくて、この姉妹交換の話を書いたんです」

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト