園監督流のR-18自由論を綴った『獣でなぜ悪い』(文藝春秋)


──今の日本映画界では、見た目が若くかわいい女優ばかり起用する流れになっていて、映画監督は青春映画ばかり撮らざるを得なくなったということですが。

園:かわいいけど型がいつも同じで、同じ芝居の女優が多いんですよ。顔は多少違うけど、演技が同じだから全然カラーが出てこない。そういうのは日本独特の現象だと思う。たまたま今朝、『ファーゴ』っていうアメリカのドラマシリーズを観ていて、ユアン・マクレガーが主役をやってるんだけど、しばらくわからなかったの。あまりにも演技の質も全然違うから。一人二役で兄弟を演じていて、金持ちのイケイケのキャラと、バカで金がない弟のどちらもキャラクターの芝居をしていて、彼だと全然気づかなかった。すごいなと思ってね。日本は役者が持っているイメージを映画の中に強引にぶちこんでいるだけで、その人が役を演じているのはほとんどないから。

──そんな中で、監督が認める方とは?

園:今はもうハリウッドに軸足がぐんぐん動いているんで、日本については完全に一刀両断というか(笑)。海外の女優にはすごいなと思わせる人がいっぱいいるので。向こうの女優たちは濡れ場ごときで何か大ごとになったりもしないし。日本だと初の濡れ場っていったらもう人生かかっちゃってるみたいな。

──そうでしたか(笑)。アイドルへの違和感についても綴られていたように、確かに昭和時代のアイドルはかわいく幼く見せるよりも、背伸びして大人びていたと思うんですよね。今のアイドルについてどう思われますか?

園:いやもうひどいですよ、それは(笑)。レディー・ガガと同世代がAKBって信じられないよね(※レディー・ガガ=32才、AKB48の最年長記録は29才での卒業と比較して)。一方は自分で作詞・作曲から演奏、演出までこなして、成熟した、完全に独立した女性というイメージがあるけど、方や、“自分で何も考えられなくなった機械群”に見えてしまうこともある(笑)。個としての表現力にそのぐらいの違いがある。

──この数十年で“かわいい”が蔓延する世の中になってしまった背景には、経済も関係あると思いますか?

園:そう、経済も関係ある。映画もそうですけど、経済が上向きの時は映画も歌もうまくいくし、男性たちもカネを持ってイケイケになっていたから、背伸びして大人びたアイドルが人気だった。セクシーというか、成熟した人に心も傾くというか。カネがなくて自信もないときは、優しく頭をなでて癒してくれるような、ちっちゃくて優しくてかわいい女の子の方が「需要」がある。

──今は経済も下向きになってしまったので…。

園:だからAKBがウケるの。

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