園子温監督が思う美しく魅力的な女性とは?(撮影/疋田千里)
──日本を出たらカルチャーショックを受けますね。
園:美の基準なんて曖昧で、日本ではかっこいいとされるパンチェッタ・ジローラモのような顔はヨーロッパでは「不細工」とされる顔。イタリアではモテなかったであろう男が、日本で人生を謳歌している。日本では不細工とされる人が、韓国ではモテたりすることがあるでしょう。それをぼくは「ジローラモ現象」と呼んでるんだけど、個々の持っている特殊性は武器になるんですね。だから本にも書いたけどジローラモみたいに、自分の通用する国に行けばいいだけ。人はみんなジローラモになり得るんです。
在米の日本人の役者にはよく言ってるの。お前ら、ハリウッドで売れるなんてそんなの絶対無理なんだから、逆に日本人が少ない国に行けと。そこでは日本人というだけでスターになれる可能性があるから。僕の知り合いに全然オーラのないおっさんがいるんだけど、その人はギリシャで日本人というだけでテレビに出まくってるの。日本人が少ない国に行けば“ジローラモ現象”が起きる。その国の人は日本人の美醜なんてわからないから、「かっこいい」ってジローラモ的にモテるなんてことが起きうるんで、ちょっと目線を変えて他の国でビッグになったら? ってみんなに言ってるんです(笑)。
【園子温(その・しおん)】
1961年愛知県生まれ。映画監督。1987年、『男の花道』でPFFグランプリ受賞。以後、『自転車吐息』『自殺サークル』『紀子の食卓』など多数作品が世界でも高く評価される。『愛のむきだし』で第59回ベルリン国際映画祭カリガリ賞、国際批評家連盟賞をダブル受賞。『冷たい熱帯魚』『恋の罪』『ヒミズ』『地獄でなぜ悪い』など数々の国際映画祭で受賞。他に『希望の国』『TOKYO TRIBE』『新宿スワン』『リアル鬼ごっこ』、オムニバス作品『クソ野郎と美しき世界』など。