女優たちの才能を開花させてきた園子温監督(撮影/疋田千里)
──アイドルグループだけでなく、日本では自分の個性を活かすよりも、髪型、メイク、服…みんなが似通った顔、スタイルという感じがあります。園監督は古い女性観を捨てた「新しい女性像」を勧めていますが、監督が思う魅力的な女性像とは?
園:ビヨンセとかレディー・ガガみたいな女性はやっぱりすごいなって思いますよね。見た目ではなく、人間としての中身や生き様が美しい人が魅力的ですね。
──日本では男目線の“かわいい”を求める中で、強さやかっこよさが女性の美しさだと、真逆のことを言われているのが新鮮でした。
園:とにかく、いろんなものに国民性が表れているというか、見てると自分の頭もぼんやりしてくるよね。ハリウッドではまず中身が問われますが、日本は全く違っている。日本の映画のヒロインは、最初はちょっとかわいいなと思ってもだんだん退屈してきて、最後はどうでもよくなることが多い。方や、海外の映画を観ていると、不細工な女優でも演技力によって次第に美しく見えてくるものだから。
──園監督は、女性は自分を客観視して、それぞれが持つ特殊性を武器にすべきだとおっしゃっています。その方が競争率も低くなると…。
園:日本にいると気づかないことっていっぱいあって、たとえば小顔がかわいいっていうセンスは、日本でしか通用しないって言うと、みんな「世界中が小顔ブームだと思ってた」って驚く。実はアメリカだとパーツのはっきりした大顔の方が好まれて、小顔はコンプレックスだから日本人が「顔ちっちゃいね」なんて褒めると、あっちではけなされたって怒られちゃう。「尻がちっちゃい」なんて言おうものなら、「バカにしないで」みたいな感じだし。尻はでかい方がいいんだから(笑)。日本特有の、日本だけで通用する美の概念はいっぱいあるけど、ガラパゴス化してるなって思います。みんな一生懸命、日本人に好まれるための体形作りをしているけど、そんなのは海外に出てしまえば今のままの方が断然良かったりすることも多い。