横浜(南神奈川)には1年の夏から聖地を経験した右の大砲・万波中正(ちゅうせい)がいる。コンゴ出身の父と日本人の母との間に生まれ、“オコエ2世”とも呼ばれたが、今春から絶不調に陥り、地方大会の一次登録ではまさかのメンバー外に。直前の登録変更で背番号「13」を奪い返し、準々決勝と決勝で特大アーチを放った。以前は雑なプレーもあったが、夏前に据えられた“お灸”が功を奏した。甲子園では「9」を背負って臨む。
◆二刀流のジェームス
万波とは対照的に、今春のセンバツまでは無印の控え選手ながら、“夏の覚醒”を予感させるのが日大三(西東京)の佐藤コビィだ。強力打線を伝統とする同校にあっても、ガーナ人を父に持つ佐藤のパワーは規格外。小倉全由監督は強引に引っ張る悪癖をマンツーマン指導で矯正し、今や佐藤も「逆方向だったらチーム一の飛距離」と豪語する。
昨夏、花咲徳栄(北埼玉)の甲子園制覇に貢献した野村佑希もプロ注目の右打者。両親は日本人だが、米国ミシガン州生まれで、“ジェームス”のミドルネームを持つ。1年秋から4番を務め、投手としても146キロを投げる。北埼玉大会の決勝では1失点完投。二刀流の大黒柱が夏連覇を狙う。