竹中:海外では、ブリーダーや保護施設から時間をかけて迎え入れるのが基本ですよね。杉本さんは長年犬猫の保護活動をされていますが、現場は変わってきましたか?

杉本:私が保護活動を始めたのは25年前。撮影所の敷地で野良猫を拾ったことがきっかけでした。当時と比べるとずいぶん、保護犬、保護猫の認知度が高まり、地域住民の理解も深まりました。犬や猫も、当時はペットショップで買う人がほとんどでしたが、保護施設から迎える人も増えています。しかしまだ、ペットを飼う覚悟や準備への理解は足りていないように感じます。

──ペットの幸せを考え、よりよい飼い主になるためには、どうすべきか。

杉本:とにかく、飼い主としての責任を全うすることが大事。もちろん、ペットが死ぬまで責任を持って飼う“終生飼育”が原則ですが、飼い主にも予想外の出来事が起きるかもしれない。経済的に厳しくなるかもしれないし、病気や事故に遭うこともありますよね。私は猫9匹と犬3頭と暮らしていますが、万が一のときに面倒を見てもらう人を決めていて、ペット専用の貯金もしています。あらゆることを想定し、準備をしておくことがペットに対する責任だと思います。

竹中:私も、自分に何かあったら愛犬を託す後見人を決めていて、死亡保険金の受取人になってもらっています。だけど残念なことに、このような考えはまだ浸透していない。私たち獣医師が飼い主にきちんと指導できていないことも問題だと痛感しています。

杉本:活動する中で感じるのは、精神的に追い詰められている人がネグレクトしたり、虐待したりすることも多いということ。飼養する能力が不足しているのに飼い続けることに執着しすぎると、かえって動物を不幸にしてしまう。次の飼い主さんに引き継ぐのも1つの選択だと思います。

竹中:最近は、老後のペット飼育が流行っていますが、犬の平均寿命が14年、猫が15年。20年生きる猫もいるから、シニアの動物を迎えてほしい。

杉本:私も年齢を考えると、この先も子犬や子猫を迎えることはないでしょうね。私たちに幸せや喜びをもたらしてくれるペットですが、人もペットも幸せでいるためには準備と覚悟が必要だということを忘れないでほしいです。

※女性セブン2018年12月20日号

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