50代で現役を続けるカズにとって、ステージで2時間歌って踊り続けている6歳年上の田原俊彦の存在は大きいのではないか。
田原は、ライブでスポーツ選手と同じように動き回っている。古い話で恐縮だが、それを証明するデータがある。
1984年3月22日の『ザ・ベストテン』では、『チャールストンにはまだ早い』で6位にランクイン。歌唱時、田原がどのくらい動いているかを数字で示すため、番組は機械を装着させた。
すると、歌い終わった時のカロリー消費量は69.6、脈拍数は181に。立ち会いの医学工学博士が「100メートルを走りながら歌ってる感じです」と説明した。番組前に測定した田原の通常時の脈拍は75、1分間の階段登り降りで140、1分間のなわとびで145だった。いかに歌って踊ることが過酷かわかるだろう。
現在も、田原は2時間歌って踊るライブを続けている。還暦近い年齢を考えれば、踊りを簡略化してもファンは文句をいわないだろう。しかし、田原は出来る限り、当時と同じ振付で魅せている。
ジャンルこそ違えど、50代になっても自分との戦いを辞めないからこそ、カズは今も田原俊彦を慕っているのではないか。
昨年、カズの出場機会が少なかったように、田原も新曲を地上波テレビで披露する機会は訪れなかった。以前、田原はインタビューで自身の芸能界でのポジションについて聞かれた時に現状を冷静に分析し、こう答えている。
〈「ぶんぶん素振りをしているのが俺」。ピンチヒッターとして、声が掛かったらいつでもスタンバイOKでステージに立てるように準備しているからだという〉(山梨日日新聞、2013年7月9日)