「沿岸部がすべて津波で壊滅的な被害を受けた。そこで村井知事に、広域の自治体協議会をつくり、一体的に上下水道を管理、運営できるように改組してはどうか、そこに民間の経営手法を取り入れたらどうですか、と提案しました。まだコンセッションとは呼んでいなかったけど、村井知事は仙台空港と宮城の水道の両方を検討し、先に空港に手を付けたわけです」

 水道コンセッションには法改正が必要なため、後回しになったわけだ。全国の自治体の中では、宮城県が最も水道コンセッションに前のめりだとされるが、それは東日本大震災のときのこうした経緯があったからにほかならない。

 周知のように民主党政権は2009年から2012年12月までの3年しかもたなかった。現実には、それを引き継いだ第二次安倍政権で、コンセッションが動き始めたといえる。そこでも、民主党政権のときと同じく、中心は竹中-福田のラインだ。

 自民党が政権に返り咲く前夜の2012年3月、政府委員会に参加する有識者として顔を売った福田は、国内3大監査法人の一角である「新日本有限責任監査法人」にヘッドハンティングされる。パブリック・マーケッツ推進本部インフラストラクチャー・アドバイザリーグループの金融・PPP・PFI担当エグゼクティブディレクターという肩書で、取り組んだのが関空のコンセッションだ。大阪府知事だった橋下徹もいたく福田を評価し、福田は翌4月、関空と水道コンセッションを進めるべく、大阪府の特別参与にも就任する。

 一方、竹中平蔵は第二次安倍政権が誕生すると、明くる2013年1月、日本経済再生本部の下に置かれた「産業競争力会議」のメンバーに抜擢された。官房長官の菅義偉が竹中を推薦したとされる。菅は第三次小泉改造内閣時代に総務大臣だった竹中の下で副大臣を務めて以来、竹中の政策を信奉し、今でも頻繁に会っている。産業競争力会議は2016年9月、「未来投資会議」に衣替えするが、アベノミクスの成長戦略を担うエンジンとして期待されてきた。

◆関空から官邸へ

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン