ライフ

【著者に訊け】林真理子氏 官能美を描く『愉楽にて』

作家の林真理子氏

【著者に訊け】林真理子氏/『愉楽にて』/日本経済新聞出版社/1800円+税

「今朝の日経、読んだ?」、「昨日の大河、観た?」という2つの話題の中心に、平成最後の年の彼女はいた。

「去年は私にしては珍しく、男性読者が増えた年でした。へえ、林真理子ってこういう小説も書くのかと、サイン会にも大勢来て下さって。まさに『愉楽にて』と『西郷どん』さまさまです(笑い)」

 濃厚な性描写と日経新聞朝刊の取り合わせといえば、故・渡辺淳一作『失楽園』(1995年~)以来の系譜。その継承を意識したという本作では、共に50代の大手製薬会社9代目〈久坂隆之〉と名門製糖会社3代目〈田口靖彦〉を軸に〈素性正しい大金持ち〉の生態を描き、連載当初から注目を集めた。

 ことに早々に〈若隠居〉を公言し、シンガポールや京都で情事や趣味にふける久坂は、国際経済の激動を尻目にこんなことを言う。〈たぶん百年後、日本語も日本も無くなるよ〉──。そのけだるく、何もかもに飽いたような姿は、今の日本経済や社会そのもの?

「私はよく、『山梨のイモのくせにセレブ気取り』って悪口を書かれるんですけど、地位も教養もある方たちの会合に、なぜかお誘いいただくことが多いんです。まあヤクザな作家を面白がってのことでしょうけど、お付き合いにはお金もかかりますし、なんでこんなに働いたのに貧乏なんだろうと思うくらい、今回は元手がかかっています(笑い)」

 シンガポールの一等地に建つ時価15億の超高級マンションに住む久坂は、京大時代から能に親しむ風流人。そんな長男の適性を見切った父親が弟を社長にすえて以来、寛政年間創業の久坂薬品は中国進出も果たし、副会長の久坂の資産は増える一方。慈善事業に忙しい妻を東京に残し、娘は留学中という悠々自適の毎日だ。

関連記事

トピックス

2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
反日的言動の目立つ金民錫氏(時事通信フォト)
韓国政権ナンバー2・金民錫首相の“反日的言動”で日韓の未来志向に影 文在寅政権下には東京五輪ボイコットを提起 反日政策の先導役になる可能性も
週刊ポスト
6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン