この法規定を改正して、男系女子でも宮家となって、皇族に残れるようにする。そして、まずは男系の女性天皇を認めるように皇室典範を改正すれば、愛子さま、眞子さま、佳子さまも、皇位継承権を持つことになります。
歴史的には、推古天皇をはじめ、8人の女性天皇がいるのですから、女性天皇が誕生すること自体は伝統に反するものではありません。
最近の世論調査でも、7~8割が女性天皇に賛成しています。安倍首相は、以前から女性宮家の創設には反対しており、男系男子の継承にこだわっていますが、国民感情としては、女性天皇に賛成を示す割合のほうが圧倒的に高いのです。
ただ、「男系女子」の皇位継承を認めたとしても、愛子さま、眞子さま、佳子さまのお子さまは女系になるため、皇位継承権はありません。ですから、皇位継承権を持つ方は増えるけれど、将来的には、悠仁さまがご結婚されて男の子をもうけなければ、皇位は途絶えてしまいます。
そうなった場合には、今度は「女系」の天皇を認めるかどうか、という議論をしなければならないでしょう。しかし歴史的には、女系天皇の例は見られませんから、女性天皇を認めるかどうかという問題よりも、議論は難しくなりそうです。
●いけがみ・あきら/1950年、長野県生まれ。ジャーナリスト、名城大学教授、東京工業大学特命教授。慶應義塾大学卒業後、1973年NHK入局。報道記者として勤務。1994年より11年間、『週刊こどもニュース』でお父さん役を務め、わかりやすい解説が話題に。2005年にNHKを退職し、フリーのジャーナリストとして活躍中。著書多数。
※SAPIO2019年4月号