国内

皇太子が胸に刻む訓戒の書『誡太子書』の苛烈な内容

「第8回世界水フォーラム」の開会式で挨拶される皇太子殿下(2018年3月) 代表撮影/共同通信社

 間もなく「平成」の時代が終わる。天皇という苛烈なご生涯を送ることを、皇太子殿下は国民のために受け入れるご覚悟ができている。その背景には、激しく皇太子に自戒を求める内容の書物に「非常に深い感銘を覚えます」と言い切っておられるほど、ご自身を厳しく律しようとされる姿勢がある。神道学者の高森明勅氏が、かつてないスケールのご活躍が期待できる皇太子殿下のご様子について綴る。

 * * *
 歴史上、“皇太子”という立場の方に最も厳しい訓戒を与えた書物は、花園天皇(95代)の『誡太子書(かいたいしのしょ)』だろう。同書は、元徳2年(1330)に当時の皇太子、量仁(かずひと)親王(後の北朝1代光厳天皇)に贈られたもの。

「皇太子は宮中で優しく育てられたから人民の大変さを知らない。きれいな着物を着ても、その着物を作る苦労を知らない。おいしいご馳走に飽いても、農民の耕作の困難さを知らない。いまだ国への功績が少しもない。人民に対する貢献もない。にもかかわらず、先祖のおかげで将来、天皇の地位に上ろうとしている。すぐれた人格的価値も身につけないで、人々の上に君臨することは、自分で恥ずかしく思わないのか……」(要約)

 こんな情容赦のない言葉が並んでいる。

 鎌倉幕府の討滅から建武(けんむ)の新政をへて、やがて南北朝の動乱へと流れ込んで行く直前の危機的な時代相の中で、皇太子たる者、身を修めて学問を身につけ、ひたすら人格の向上を図るべきことを切々と説く。じつに激しく皇太子に自戒を求める内容になっている。

 ところが皇太子殿下は、歴代天皇の事蹟を学ばれる中で最も印象に残っていることとして、とくにこの『誡太子書』を取り上げておられる。

関連記事

トピックス

真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン