ご夫妻そろっての公務を希望する宮内庁から雅子さまをかばうように、皇太子さまはひとりで公務をされながら、雅子さまの療養生活をサポートされた。
「愛子さまが学習院幼稚園に通う際は、体調のすぐれない雅子さまに代わって週3回ほど、皇太子さまが送り迎えをされていました。昼間にご公務がある日でも時間のやりくりをされ、自ら幼稚園との電話連絡をされることもありました。雅子さまがなかなかお目ざめにならない時は、ひとりで寂しい食事をされないようにと、出発のぎりぎりまで雅子さまをお待ちになっていらっしゃいました」(宮内庁関係者)
しかし、ご結婚20年目を迎えた2013年、『新潮45』に《皇太子殿下、ご退位なさいませ》という論文が掲載されると、皇太子一家の在り方を巡って大論争が起こる。その論文の内容は、家族を慮るあまり「公」としての役割を果たせない皇太子さまに「退位」を促し、秋篠宮さまへ後継者としての地位の「譲位」を勧めるものだった。
世間で賛否両論が巻き起こる中、皇太子さまは変わることなく、忙しい公務の合間を縫って雅子さまと愛子さまを支え続けた。
そこに、父である天皇陛下の影響を指摘するのは、前出の皇室記者だ。
「天皇陛下は皇太子時代に、記者会見で『家族という身近なものの気持ちを充分に理解することによって、初めて遠いところにある国民の気持ちを実感して理解できるのではないか』とおっしゃいました。このお考えを皇太子さまは受け継がれています。その上で、プロポーズした際の『一生全力でお守りします』という約束を果たすべく、雅子さまと愛子さまを全身全霊で守ろうというお心持ちなのでしょう」
当時、本誌・女性セブンが行ったアンケートでは、皇太子さまの家族を思いやる姿勢に高い支持の声が集まっていた。
皇太子さまが支持される理由は、家族愛だけではない。手術で入院された陛下の臨時代行など、きっちりと役目を果たされる公務に対する真面目な姿勢も、国民を安心させた。
雅子さまは順調に快復の道を歩まれ、2017年には2004年以降最多の公務を果たされた。宮内庁関係者もすっかり安堵の表情を浮かべる。
「皇太子さまは公務を非常に丁寧に行われるのに加えて、夫として、父として、家庭人としても大変ご立派です。両陛下のご教育をきちんと受け止め、どんな時も物事に動じない信念をお持ちです。私ども宮内庁職員に対してもつねに朗らかで、意見をしっかり聞いてくださる。そのおかげでわれわれにも、『殿下のために』という気持ちが芽生えるんです」
※女性セブン2019年4月25日号