カープの主砲・鈴木誠也も見逃し三振は多い(時事通信フォト)

 ヤクルト、巨人、阪神で4番を任された野球評論家の広澤克実氏が続ける。

「確かに僕の現役時代には、バットを振らずに三振するのは最悪だと言われました。ベンチに戻ると“振らないなら誰を立たせてもよかった”と叱られたものです。

 ですが、今の野球でチームの中心選手に求められているのは、三振しないことではなく、ホームランやヒットで打点を挙げ、チームを勝利に導くこと。それがシーズンを通して、どれだけできているかが評価の対象であって、試合ごとの凡打の内容まで細かく指摘されたら、今の選手はそれだけで調子を崩してしまいます」

 球団も、最近は“見逃し容認”に傾きつつあるという。パ球団の選手査定担当がいう。

「ヒットエンドランのサインが出ていたようなケースを除けば、以前と違い、見逃し三振が契約更改時の選手の査定にマイナスになることはありません。とはいえ、勝敗を分かつシーンで強打者が見逃し三振に倒れれば、ベンチの士気にも影響する。見逃し三振はしないに越したことはありませんよ」

◆怒られたくないから当てにいく

 セ球団の元コーチもこう語る。

「打つ気が見られないなら別ですが、ピッチャーの球種も増えて審判のジャッジにも左右される部分も大きいので、見逃し三振にペナルティというのは今の野球ではあまりない。以前は、見逃し三振でベンチに帰って来るとチームメイトからもボロクソに言われましたし、罰金もありました」

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