カメラに向かってポーズを取る山田邦子

 他人との付き合いを大切にする彼女は、自嘲気味に「私は古いタイプの芸人だから……」と語る。そんな彼女のもうひとつの転機となったのが2007年に乳がんの手術を行ったことだ。

「ピン芸人って孤独で自分と向き合って仕事をしていて孤独を愛するって感じで、ちょっとした変態なんですよ(笑)。だから収録後にみんなで食事とか行くのが大嫌いだったんだけど、乳がんを患ってから、その考えが180度変わったの。病院の先生・スタッフにお世話になったことで『人間は一人では生き延びられない』ことに気づいた。

 それでチャリティー団体“スター混声合唱団”をつくって仲間で活動をするようになったんです。今ではみんなで温泉行ったり、ディズニーランド行ったりしていますよ。これからもいろいろなご縁を大切にしていきたいと思っています」

 現在、ラジオ番組『DNA先端医療presents 山田邦子のルーズベルトな夜』(渋谷クロスFM)出演や、ライフワークとなった長唄の会、演劇・舞台などに力を入れている。

「ラジオ番組もそのひとつで独立前からお声がけいただいていたのを、今でも続けさせていただいています。ドラマや映画もしばらくやっていないから、代表作になるようなことを仕掛けて行きたいと思っているの。

 有難いことに独立して、他のタレントさんたちから“山田邦子事務所”に入れてくださいって連絡がすごく多い(笑)。でも、せっかく40年ぶりに1人になって、さっぱりしたから『申し訳ないけど、みなさん少し待ってくださいね』ってお伝えしています」

■取材・文/水口航太、撮影/渡辺秀之

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