金日成は南を「解放」する戦争準備に熱中し、金正日は拉致を含めたテロに専心した。金正恩は核武装と処刑・暗殺で自己主張する。三代を通じて経済政策と呼べるものはなく、一九九〇年代後半に「国家」としては破綻したから、現在は「重武装の団体」にすぎない。
このような北の異常と惨状にあっても「革命」を志向しない住民の無気力さそのものが「コリア文化」の産物なのだとすれば、本質的な意味でコワい。金正恩に秋波を送る韓国大統領にもとめられるのは「民族主義」ではない。「自文化の客観」と「歴史観の修正」であろう。
※週刊ポスト2019年9月20・27日号