新内閣は「挙党態勢」どころか、発足するなりスキャンダル情報が乱れ飛んで不穏な空気に包まれた。最初に“火の手”があがったのは菅氏の足元からだ。
「全く問題ない」。改造翌日の記者会見で菅氏は、側近の河井新法相が過去に元秘書から傷害罪で告訴されたと以前に『週刊文春』で報じられていたことを質問されると、そう一蹴してみせた。背後には岸田派との深い確執がある。
「7月の参院選で菅さんは岸田派の牙城・広島から出馬した河井法相の妻・案里氏の応援に入って当選させ、そのあおりで岸田派の重鎮・溝手顕正氏が落選した。岸田派はそれを恨んでおり、河井事務所をクビになった元秘書からスキャンダル情報を集めているとの情報がある。菅さんもそんな動きを予想しており、会見でも最初に“過去のことは身体検査で問題なかった”とあえて強く否定していた」(菅氏に近い議員)
その直後、今度は岸田派の新大臣、北村誠吾・地方創生相から失言が飛び出す。大臣お披露目に戻った地元・長崎でダム建設への反対運動について、「誰かが犠牲(になり)、人のために役に立とうという精神で世の中は成り立っている」と発言して批判を浴びた。
「今回は一発退場レベルではないが、菅さんは岸田派の大臣が問題を起こせば交代させる構えだ」(同前)
改造の余波は二階派vs麻生派の対立も深めている。警察庁を管理する国家公安委員長(国務大臣)に就任して驚かれたのが武田良太氏だ。幹事長特別補佐を務めた二階氏の側近で、地元・福岡では県知事選をめぐって麻生太郎・副総理兼財務相や麻生派県議たちと激しく対立してきた。