青葉の末路は特殊だが、青葉の歩んだ時代は私たちそのものである。だが私たちは青葉になってはいけない。独りよがりの孤独は私たちにも必ずいるであろう良き肉親、良き友、良き他人に気づき、時に頼り、時に感謝することできっと乗り越えられる。そのような他者は誰にでも必ず存在する。私たちがしくじるとするなら、それに気づいていないだけなのだ。これまでしくじったとするなら、それに気づけなかっただけなのだ。そんなことでと思うかもしれないが、シンプルな幸せを忘れたところにしくじりがあるのだ。それならそれでしくじりを認めよう。認めた上で先に進もう。
そして団塊ジュニア・氷河期という困難を生き抜いてきたことに誇りを持とう。偏差値の輪切りや昭和のルッキズムで比べられ続けた私たちは、今こそ自身の幸福を絶対視しよう。無意味なマウントや競争、くだらないヘイトをやめて相対的な自己ではない、絶対的な自己、幸福を求める先に、私たちしくじり世代の落ち着きどころがあるのだから。
もう団塊ジュニアが団塊ジュニアを殺す光景はまっぴらごめんだ。
●ひの・ひゃくそう/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。ゲーム誌やアニメ誌のライター、編集人を経てフリーランス。2018年9月、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。2019年7月『ドキュメント しくじり世代』(第三書館)でノンフィクション作家としてデビュー。12月『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)を上梓。